クリーニング技術 家庭でスーツが洗える「スイトル洗い」

switle「スイトル」で純毛100%毛布を洗う 1

投稿日:2017-06-01 更新日:

 シリウス社が出している湿式掃除機アタッチメント「switleスイトル」を入手し、これまで2回に分けてレビューを行ってきた。

switle「スイトル」の実機レビュー1

switle「スイトル」の実機レビュー2

 またこのスイトルが、業務用クリーニング洗浄機「ウェットハイブリッドクリーナー」の異母兄弟であること、同様の処置が行える可能性があることを指摘してきた当viventeでは、やはり実際にハイブリッドと同じような洗浄ができるかどうかを実際に検証する必要があると判断し、純毛の毛布を使って実験的に洗浄することとした。

 またレポ内容をこの準備編と実践編の二つの記事に分けて投稿することとする。

洗浄前準備

 ウェットハイブリッドクリーナーでは、専用の洗浄液を使って吹付けと吸い込みを同時に行っている。これは水による生地のフェルト化を防ぎつつ、汚れを落とし、かつすすいで加工までを一括して行うというハイブリッド特有の技法を行えるよう、最適化された水溶性の洗浄剤である。

 ただこの液をそのまま「スイトル」に使えるかと言えばそうでもなく、吸い込みの方で専用バキュームを使うハイブリッドの方が分があるため、吸い込みが少ない状態でも一定の洗浄力と被洗物を守ることができる別の洗浄剤が必要となる。

 つまり、吸い込みが弱くとも早く乾くことができれば良いということで、ハイブリッド洗浄液をベースにしつつ、高速乾燥剤や移染防止剤などを組み合わせたプロトタイプの洗浄剤を新たに作成した。

洗浄液プロトタイプ

プロトタイプ洗浄剤

 検討と検証に二週間ほどかかり、ようやく完成したスイトル用洗浄剤を用い、早速洗浄準備にとりかかることとする。

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スイトル用洗浄液を作る

 このプロトタイプ洗浄剤はそのままでは使えない。なぜなら「原体」だからである。私は「原体主義」なので材料をそのまま仕入れ、それから濃度を落とす。この洗浄剤の場合、高濃度で作ったため50倍程度の希釈が必要である。つまり、この一本(1L)で50Lの洗浄液が作ることができるという算段だ。

 この一本の送料と一斗缶3本の送料、どちらが安いか、だれが考えてもわかる。1Lの方が安いに決まっている。よって仮に単価が高くとも「小さく仕入れて大きく使う」という原体主義を採っているのだ。これによって販売側の負担が減れば、それは我々購入者の利益にも繋がるというものだ。この考えを実践するため、当方の使う資材は全てオーダー品である。

 というわけで早速洗浄液を作ることとする。まずペットボトルに800mlの水道水を入れる。

800mlの水

 ここに洗浄剤を入れるのだが、少ない液でも洗浄できるよう洗浄液の濃度を上げるため、15mlでよいところを20ml投入し撹拌する。

20mlの洗浄液

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水溶性樹脂剤

 続いて水溶性樹脂剤というのものを投入する。これは何なのかといえば「糊」に相当するものである。今から20年以上前の話であるが、ウェットクリーニングの際、服にハリが無くなってしまうのは衣料の出荷時にドライクリーニング処理の加工が取れると考え、ドライ用の仕上剤をバインダーを用い、ウェットで使えるように作ったものである。

 それが意外な形で広まり、市場に出ているドライマーク洗剤の一部にも類似の材料を使ったものが出回るまでメジャーなものとなった。

水溶性樹脂剤

 この樹脂剤は分子が大きく凝固しやすいので洗浄剤とは別個に洗浄液に投入し撹拌させる。800mlの洗浄液に必要な分量は4~5ml程度である。

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水溶性抗菌剤

 次に水溶性抗菌剤を入れる。これは衣料内の雑菌などの繁殖を抑える材料である。極性がないため、衣服繊維に変化を起こさせない。除菌剤の場合、極性が振れている(アルカリが多い)ため繊維にダメージをもたらすケース(色抜け、破れ)が多いため、使えないという問題を解決する材料である。

水溶性抗菌剤

 出回っている消臭剤などとは比べ物にならないレベルで強力な消臭能力がある。ただ資材として圧倒的高価であり、一般レベルはおろか業務用途でも手が出しにくいものでもある。

 昔、一斗缶に10ccのみを入れ「抗菌剤配合」とうたった商品が出回り、一部で「やりすぎだ!」との声があがった。確かに1ccでも入っていれば「配合」とはなるものの、騙しに近いと言われても仕方がない。

2mlの抗菌剤

 今回の洗浄液には2ml投入する。信じられないかもしれないが、この抗菌剤は、この投入量でも出回っている消臭剤レベルを越える力がある。値段もそうだが繊維最強レベルの資材である。

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洗浄液の完成

 これらの資材を混ぜて撹拌させれば、洗浄液が完成する。

 これにクエン酸を少々加えれば成分の凝固を抑え、ノズル詰まりを防止する効果がある。またクエン酸を入れることで、多少の作り置きをしておいても持つ。クエン酸は繊維的に害にはならないため、安心して投入できる。投入量は1g以下でよい。

 ちなみにこのできあがった洗浄液、液レベルで業者超えしている。おそらく全国どこの業者も使っていない液である。なぜなら何を使っているのか確認しているからである。

 仮にこれでスイトルがハイブリッドと同様レベルで繊維を洗えるとなれば、家でクリーニング業者と同等、あるいはそれ以上のクリーニングを家で実現することができるということになる。これまでの浸け置き洗いなどとは比較にならないレベルの本格的なクリーニングが家に行えるのだ。

 洗い、すすぎ、加工、仕上げが一体化した洗浄がもし家で実現すれば、業者である私が言うのはなんだが、クリーニング業者にとって少なからぬ脅威となるかもしれない。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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