クリーニング業界談 最新情報

Yシャツ料金のホントの話

投稿日:2017-06-30 更新日:

 クリーニング店によって全く違う「クリーニング料金」。値段もバラバラならば、料金体系自体も違う。実はその料金及び料金体系の考え方自体、一般社会や他業界からすれば思いもよらないものだった。これをY シャツ料金から読み解いていきたい。

Yシャツ料金が100倍差

 下は60円から上は6000円まであると言われるYシャツ料金。なんでそんなに差がつくのかは、クリーニング業者である私にもサッパリ判らない。ただ本当にそういった料金を提示するクリーニング店がある以上、事実を事実として受け止めるしか無い。

 である以上、これまで「Yシャツ洗い」について解説してきた手前、今度はYシャツのクリーニングにおける仕上げの現状を説明するしかないだろう。

 現在のクリーニング業においてYシャツの仕上げはほぼ機械仕上げと言ってよいだろう。よく「手仕上げ」云々をうたったりする業者やそれのほうが良いと思われるお客様などがいるが、実際問題「身頃」(Yシャツの胴部分)に1.5トンの加圧がかかる熱版プレス処理の仕上げに、人間の手仕上げがかなう訳がない。機械仕上げの後にアイロン直しが入る。

 そして立体なら吊りで包装、たたみなら畳んで平面包装工程に送られ包装される。その後整理を経て出荷され、店舗なり玄関前でのお渡しをまつのみとなる。

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一体どれぐらいの費用がかかるのか

 仮の計算だが、機械プレス1人辺り40枚、直し包装整理に1人辺り40枚、時給1000円と考えた場合、一点辺り50円の仕上げコストとなる。これに店舗費用、受付備品、包装、ハンガーあるいは台紙、洗濯費用、燃料費、動力費等々・・・・・ 普通に考えて、キチンとまともにやっていたら60円どころか100円でも無理である。

 これを「企業努力により」この料金で提供できました、なんて言われたってちゃんちゃらおかしい。というのもクリーニングにおける「機械化」は省力化に過ぎず、お客様の服を預かって処理する特性上、他業種のような無人化など不可能で、クリーニングが工場制手工業の域を出るわけがない。

 というわけで料金を下げるにはどこを落とすのかといえば、材料と思われがちだが、上を見れば分かるように元々削っているだろうから微々たるものである。究極できることといえば、仕上げや整理要員にこなせる訳がないノルマをかけて、ペナルティーで給与減額の名分を立てて支払わない程度ではないかと思われる。

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実は根拠自体はない料金設定

 これまで書いていることを見ても明らかのように、実はクリーニング業の最大経費は人件費でおよそ四割に達する。これを削ると品質が落ちると見てもらって構わない。だが料金を安くするにはここを何とかするしかないのは明らかだ。

 しかし叩いても出ないのにどうして60円みたいな料金を出しているかといえば、実はコスト計算などどうでもよく、「手っ取り早く客を集める」ことのみで決まっているだけなのだ。費用は後で合わせればよい、そんなくらいの話なのである。

 これは激安店のケースの話だが、実はそうではないクリーニング業者も、値段については相場感でつけるケースが殆どだ。例えば自分の地域のクリーニングの相場はこれぐらいだから、それより少し安くしよう、あるいは少し高くしよう、そんな感覚で値段をつけている。

 激安勝負をしてくる業者がいるのは、同業がそうした値踏み感で値段を決めているのを知っているから、相手が提示できないであろう金額をただ出しているにしか過ぎない。もし出してきたらそれ以上下げればいい、ツケは従業員に回せばいいんだから、こんな程度しか考えていないだろう。そうでなければまずできない。

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おわりに

 クリーニング業がどうして「感覚」で料金が決まっているのかを端的に言えば「仕入れ」がないからである。モノはお客様が持ってくる、それを「洗う」費用が必要なだけだからだ。この点、製造や販売などといった業種とはまるで違う。だから料金を構成する要素に「仕入」がないのだ。

 それによって、値段にとんでもないバラつきが起こったり、値下げ競争を引き起こすため「だけ」に、ありえない価格を提示したりする者があらわれたりするのである。

 だが思うのだ。果たしてそういうことをやる「業者」だけが悪いのかと。本当に悪いのはそれを「企業努力」と賞賛し、利用して「節約できた」と言ってる人ではないか。すなわち、ありえない部分に目を瞑り、現実にホッカムリする姿に問題があるのではないかと。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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