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3度家を買い換えて一軒家を持った家族の先に

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 「生涯家を三度持つ」とは、家を三度建てないと理想の家にはならないという意味の言葉である。実際問題、建て方や間取りなどといった普段のくらしに常に影響する部分や、屋内屋外の様々な部分のメンテ性を知り抜くには3度くらいの経験が必要だろう。

 バブル期が終わるまでのインフレ時代には、家を買い換えていって資産を増やすという考え方が一般的だった。比較的小さな分譲マンションを買ってそれを転売し、徐々に大きな物件に買い換えて、最終的に一軒家を持つというものだった。

 「家を買おうと思っていたが、できなかった人の話」の「夫の姉の家の話」のケースがまさにそうで、ここに登場する「夫の姉夫婦」は実に四度目の購入で一軒家を手に入れたのである。しかし、それは家族にとって必ずしも幸福をもたらすものではなかった。

家族のあらまし

 「夫の姉夫婦」は4人家族。ご主人が上場企業に勤め、妻(夫の姉)とは職場結婚であったという。二人の娘は共に優秀で、共に進学校から有名大学に進んでおり、周囲から見て何ら問題のない、非の打ち所のない家族だった。

 安定した暮らしの中、分譲マンションを購入し、娘の成長に合わせて学校の近くに物件を買い求めて転居。更に娘の進学に合わせ、物件を売却し、再度マンション物件を取得する。

 転居毎に部屋は広くなり、資産価値も高くなっていった。娘たちの通う学校からの距離を考えつつ、物件の買い換えによって資産を増やすという、家族の暮らしと資産運用が一体となった誰もが羨む暮らしの営みを実現していたのである。

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一戸建てへのあこがれ

 子どもたちが大学を卒業し就職し一段落つくと、ご主人は自身の夢の実現に着手する。一軒家の取得である。そもそもご主人は農家で、当然ながら一戸建て。ご主人にとって家とは一軒家だった。

 それまでの娘たちの生活を中心とした家の選定方法から、自身が欲する家の選定方法へ。子どもたちが独立し、夫婦二人の終の棲家としていよいよ一軒家の選定に入る。

 結果、仕事場からは今までの家からは離れているが、自身の資産の範囲内で購入できる物件が目に留まる。それは新興住宅地で分譲が開始された建売住宅だった。

 ローンもなく、これまでの買い替えで資産価値を高めていた上、夫の安定した仕事によって相応の貯蓄を行っていた夫婦は、家を売却しキャッシュでの物件購入に踏み切る。物件購入4回目にして初めて買う一軒家だった。 

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人生の転換

 遂に念願の一軒家を購入したご主人。ところが順風満帆だった家族の暮らしがこの頃から変わりはじめる。ご主人が会社より出向を命ぜられたのである。

 この労働環境の変化は既に50代半ばであったご主人に負担をかけてしまう。病に伏し、長期の入院を強いられたのである。また悪いことに職場関連の病院に入院したため、新たに購入した家から遠く、妻(夫の姉)は看病のために長距離移動を余儀なくされた。

 この看病疲れによって今度は妻(夫の姉)も倒れてしまい、透析生活を余儀なくされる。そして妻の懸命の看病の甲斐なく、夫は世を去ってしまう。

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幸せのありか

 念願の一軒家を購入したにも関わらず、長き入院生活を強いられて世を去ったご主人。結果として亡くなるまでの間、家で過ごした期間より入院した期間の方が長くなってしまった。

 残された妻(夫の姉)は、新興住宅地の中で不便な生活を強いられる。運転免許がなかった妻は移動手段が乏しく、透析を受けに行く一つでも一苦労という状態だった。山を切り開いた新興住宅地では、車という移動手段を持たない人にとっては、非常に暮らしにくい環境だった。

 家には十分な蓄えがあっても、病身の妻にとって暮らせるような状態ではないことから、妻は家を売却し、娘の家族の元に身を寄せる決断を下す。

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全ては夢のまた夢

 ところが今度は買い手がつかない。こうした新興住宅地の家の場合、新築だからこそ客が寄り売値がつくのであって、中古となるとなかなかそうはいかなかった。結局、値段を下げてなんとか買い手を見つけることができた。

 売値は購入価格の半値。それでも「売り抜けることができた」といっていいだろう。というのもその新興住宅地、現在では半値でも買い手がつかないのだから。

 こうして家を手放すことができた妻は、それまでの暮らしの全てを精算し、娘家族と同居するため家から立ち去った。夫婦がこれまで暮らしの中で築いてきたものは何も残らなかったのである。

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おわりに

 誰も悪いことをしていない。誰も判断を誤ったわけでもない。誰もリスクをおかした訳でもないにも関わらず、大変残念な結果となってしまった家族。

 夫婦仲睦まじく家族に非の打ち所がなくても、このようなことになってしまうケースがあるわけで、どう暮らしどう振る舞って聞けばよいのかを改めて考えさせられてしまう。

 またこの話は例え老後の資金があろうと、資産を持とうと、それは幸せであったり安心であったりを保証するものではないことを示しているわけで、資産形成だけを主眼に置くのではなく、人生というものをもっと多面的に考えていかなければならないと思う。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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