クリーニング実践編 クリーニング技術 新しい家庭の洗濯についての研究

麻の帽子を家で洗いたいという要望に応える

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 購入した麻の帽子を家で洗いたいと妻が言い出した。この帽子、日除けのために購入したはいいが、妻の頭の大きさよりも大きく、すぐに風で飛ばされてしまう。そこで洗えば縮むだろうということで、洗いたいというのだ。

購入した麻の帽子

 この帽子、表示を見ると「水洗可」となっている。これは麻素材だから「水洗可」になっているのではなく、防縮加工や防シワ加工と呼ばれる加工を行っているからだ。つまり生地の特性ではなく、加工で洗えるという訳である。

 では家で洗うにはどうすればよいのか、実際に洗ってみようと思う。

帽子に施された加工処理

 「防縮加工」や「防シワ加工」とは一体どういうものなのか? 端的にいうと出荷前の仕上げ時に「樹脂」でコーティングしているのである。こうすることで生地にハリとコシが出て、成形をある程度維持ができるからである。

 ただ樹脂も水溶性であることから、こうした加工は何度か洗ううちに取れてしまう。そこで家庭ではキーピング等のビニル系化学糊を使うのだが、加工の樹脂剤とは異なるため、質感やサワリが変わってしまう。

 しかしアパレルなどで使われているような繊維用樹脂剤に相当する資材が一般販売されていないため取れた加工を施すことが出来ず、代用方法であってもヘタったようになってしまうのだ。

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家で洗って加工を施す

 幸いにも当方で「水溶性樹脂剤」を持っており、綿麻仕上剤もあるため、これをブレンドして麻の帽子の新調感を維持しつつ洗濯する方法を家庭洗濯で実践してみようと思う。まず樹脂剤と仕上剤を5mlずつ入れる。

樹脂剤と仕上剤

 これをペットボトルに入れ、クエン酸を数グラム入れた水と共に撹拌する。

 これで綿麻用仕上溶液は完成となる。実は柔軟剤と麻の相性は悪いので、柔軟剤を入れずにクエン酸のリンス効果を使って柔軟作用を施すようにしている。

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実際に洗う

 仕上溶液の準備が終わると、洗濯作業に入る。帽子をネットに入れ、洗い4分、すすぎ一回、脱水1分のお急ぎコースで洗う。これは帽子を縮ませることが主目的だからで、洗う際には洗い時間は10分に設定する。

実際に洗う麻の帽子

このようにネットに入れて洗う

 洗剤は当方の弱酸性洗剤を数ml、常温の軟水、そして柔軟剤投入口に仕上溶液を10ml程度入れて洗濯を行う。洗い終われば取り出して干す。

洗い終わった麻の帽子

 妻によると、普通に洗うよりシワが少なくてビックリしたという。これは仕上剤の力によるところが大きい。そして元々施されている防シワ加工がある程度残っていることも一因だ。そして当初の目的だった帽子の縮みも希望通りの大きさに縮んで妻は満足していた。

 また洗ったことで生地の元々の性質である「バイアス」(クロス編み)が見えるようになった。こうして家で麻の帽子を洗うミッションは終了した。

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麻の帽子の仕上げ

 ここまで洗えたなら仕上げも是非と妻が要望してきた。そこで作業場に洗った帽子を持ち込んで仕上げすることにした。

仕上げのために持ってきた帽子

 仕上げには帽子の型を取る「帽子馬」という道具を用いる。実は当方では結構帽子を扱う機会が多く、色々な帽子を週に20個程度仕上げている。

帽子を仕上げる帽子馬

 この馬を用いて仕上げるとだいたい二分程度で帽子は仕上がる。

 このようにキレイに仕上がった。これは樹脂剤がしっかり効いているからである。仕上がった麻の帽子はコシ、ハリ、ツヤ、サワリがよく新調感が出ている。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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