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軟水とは何か?洗いのための軟水

投稿日:2017-05-07 更新日:

 エントリー「「すすぎ」問題を解決する方法」で洗濯に向いた水(軟水)を用いいることで洗剤量を減らすことができる点を書いたが、クリーニング業者がその軟水を用いることは、実は容易なことなのである。

 それはエントリー「業務用洗濯の温度管理」で書いたクリーニングに用いる主要設備の貫流ボイラーにとって、軟水は必要不可欠なもので貫流ボイラーを設置すれば軟水装置の設備が必然的についてくるため、それを使えば当然ながら軟水も使えるということになる。

貫流ボイラーに不可欠な軟水

 やかんを長年使っていると中に白いものが付着してくる。これは水の中に含まれるカルシウムやマグネシウムが水の沸騰によって析出したもので、この硬度成分(硬度成分という)が貫流ボイラーにとって大敵なのだ。

貫流ボイラーの仕組み

貫流ボイラーの仕組み 三浦工業のサイトより

 蒸気を作るため常時沸騰させているボイラーに水道水や井戸水を直接用いると、水の中に含まれる硬度成分(スケールという)が缶体内に付着し、熱伝導率を下げ熱効率を落としてしまう。それだけではなく、水管内の水の通りを悪くしてしまい、遂には塞いでしまってボイラー自体が使えなくなってしまうのだ。

 そのためボイラー内に用いる水は硬度成分を除去した水(軟水)を使わなくてはならない。硬度成分を除去する軟水装置は貫流ボイラーにとって必須の機器なのである。

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軟水器の構造

 軟水器は「器」となっていることからも機械ではなく、「イオン交換樹脂」という濾材を使って水を通す「機器」であり、構造自体は単純なものである。

  「イオン交換樹脂」に硬度成分を吸着させることで軟水になるのだが、ある程度吸着してしまうとイオン交換樹脂の性能が落ちるため、樹脂の洗浄が必要となる。これを「再生」という。再生方法は塩水で樹脂を通し、硬度成分を洗い流す(正確には違うが、この解釈でいいだろう)。

 この「再生」は一定の使用量ごとに行わなければならないが、多くの回数(500回程度)行える。能力が落ちれば最終的には樹脂自体の交換を行なう。販売されている軟水器の殆どは業務用であり「再生」(濾材洗浄)を行なうために、定期的に自動で動くようにタイマーがついている。

 

 このように軟水器はイオン交換樹脂とタイマー、塩を入れるタンクの3つで成り立っている。因みに「再生」自体は樹脂に塩水を通すだけなので手動でも問題ないが、稼働中に軟水器が使えなくなるのを防ぐため、タイマーで機械が操業していない時間帯に「再生」ができるようになっている。

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軟水で洗うと何がいいのか?

 日本は水は多くが軟水である。それでも貫流ボイラーが軟水器を通した水を使わなくてはならないのかと言えば、軟水であってもやはり硬度成分が含まれているからである。何か非常に悪いもののように書いている硬度成分、俗にいう「ミネラル」であり、それ自体は全く悪いものではない。ただ蒸気を作ったり、洗濯といった用途にとっては阻害要因だというだけの話なのだ。

軟水と硬水

軟水と硬水のイメージ図

 話は戻るが洗濯にとって硬度成分を除去された水を使うのが良いかといえば、一重に洗剤がよく溶けるからである。通常、水道水に洗剤を入れると、汚れを外しにいくまえに硬度成分とくっついてしまうので、余分に洗剤を入れることになる。軟水と硬水の溶解度

 ところが軟水器によって硬度成分が除去されると、当然ながら洗剤がくっつく必要がなくなるため、洗剤が硬水に比べてしっかりと溶けるのだ。これによって繊維の中に水が浸透する能力が高まる一方、かつ溶けきれない石鹸カスや、硬度成分とくっついてできる金属石鹸が少なくなり、すすぎやすくなるというメリットが生まれる。

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軟水洗濯法の基礎

 

 よって軟水では硬水で洗う洗濯と同じ洗剤量で洗浄力が上がることが明らかになったが、話はそれで終わらない。より高い洗浄力を求めるならばそれでよいが。洗浄力が硬水時と同程度で良いのなら話は別となる。つまり、洗剤量を減らす事ができるのだ。

 軟水の洗剤溶解力を使って、硬水時の洗浄力と同程度の洗浄を行おうというのなら、ハッキリ言って洗剤量は従来の半分で良い。半分にするということは、ソープ濃度も当然下がる訳ですすぎが更にやりやすくなるということになる。すすぎやすくなれば、衣服への洗剤の残量はより少なくなる訳で、洗剤ヤケ等のリスクは大きく下がる。というか限りなくゼロに近づける事ができる。

 このように洗剤を限りなく少なくし、最小限のすすぎでキレイに汚れを落とすという究極の洗いのためには、軟水は必須なのである。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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