blog クリーニング技術 ライフスタイル 家庭でスーツが洗える「スイトル洗い」 新しい家庭の洗濯についての研究 最新情報

純毛の毛布が家庭で水洗できるという意味

投稿日:2017-06-01 更新日:

 switle「スイトル」にウェットクリーニング用途の水性の洗浄液を組み合わせ、毛100%の毛布を実験的に洗浄したが、私が当初予想した以上に成果があった。

switle「スイトル」で純毛100%毛布を洗う 1

switle「スイトル」で純毛100%毛布を洗う 2

 これを踏まえ、一般の人には判りにくい「成果」とは一体何なのか? 純毛毛布が問題なく家庭で洗えるとなれば、暮らしがどう変わるのかについて一項設けたい。

現実的に難しい純毛毛布のウェットクリーニング

 クリーニング業界に現在のような専用設備や資材を用意した本格的なウェットクリーニング(デリケート水洗)が普及して四半世紀くらい経過するが、やってやれないこともないけれど、という品物が純毛毛布である。

水洗が難しい純毛毛布

 正確にはウェットクリーニング自体は「できる」。しかし必ず伸縮を起こしてしまい、その採寸を直せる設備を持つ業者が皆無であること。フェルト化(毛を水洗いすると繊維同士が深くガッチリと絡まってしまう現象のこと)によって目詰まりを起こし、硬化したようになってしまうことの回避が難しいこと。水洗によって毛羽立って、抜け毛が発生してしまうこと。これらの発生を止められないので純毛毛布は実質的にウェットクリーニングが難しいのである。

 ただ諸般の事情(お客様からの要望、毛布に付着した汚れの事情、洗濯ミスなど)によって止む得えずウェット処理を行っているケースがほとんどであろう。少なくとも純毛毛布に関しては積極的にウェットクリーニングを行う業者はいないだろう。

目次に戻る

クリーニング業者では純毛毛布はどう処理されるのか

 このような事情から毛の毛布が出てきた場合、ドライクリーニングで処理することとなる。縮みは少なく、採寸の必要性もない。また分厚い純毛の毛布は石油系ドライ溶剤内に含まれている水分をよく吸うので、縮みが出ないように天日干しで半乾きするケースも多い。水分を含んだ状態で乾燥させると縮みが発生することがあるからである。

 ただ最近は回収乾燥機を導入している業者も多く、設備を行っている業者は洗った毛布を回収乾燥機に入れて、溶剤回収を行っている。いずれにせよ「毛の毛布はドライ」は業界常識で、それはいちいち言う話ですら無いのである。

 近年、ライフスタイルの変化により純毛毛布を使う家庭が減り、肌触りがよく水洗いの容易なアクリル毛布が圧倒的に増えた。これにより純毛毛布がクリーニング店に出てくることは以前に比べ大きく減ってしまい、純毛毛布を洗うことも少なくなってしまっている。

目次に戻る

純毛毛布がスイトルで洗えれば何が変わる

 毛布は人の体に直接触れることの多い寝具である。その汚れは当然ながら汗や蛋白系であることが多い。純毛の毛布の場合、毛の特質や編みの構造などから、汚れが付着してもドライクリーニングやブラシで取れやすいため、そのような処置でよいとされてきた。

 だが汚れ自体に眼を向ければ、いずれも水溶性の汚れであり、それを考えれば水洗処理ができるに越したことはない。だが、先程見たように水洗のハードルは高い。しかしそのハードルを「スイトル+洗浄液」は難なくクリアしてしまったのである。それも高額な業務用設備を使わずに家庭で業務クリーニングでは難しいことを実現できたとするならば、業務クリーニング側の立つ瀬がないではないか。

 つまり「スイトル+洗浄液」は純毛毛布を家庭で洗えるようにして、ドライクリーニング処理する必要性を大きく減らしてしまう可能性があるのである。我々業者側が「スイトル+洗浄液」以上のクリーニング処理が提示できるとは正直あまり思えない。水溶性の汚れに対しては「スイトル+洗浄液」の方が分があるからだ。おまけに風合いもドライより上とあってはなかなか容易な事ではない。

目次に戻る

純毛毛布以外のものは洗えるのか

 今回の純毛毛布の洗浄の検証と共に汚れたカシミアベストも「スイトルプ+洗浄液」で処理を行い、黄変こそ取れなかったものの風合いの変化や縮みが全くない状態を確認しており、少なくとも毛繊の衣料は全く問題なく洗浄できると思われる。

 また比較的水洗処理の難しい薄手の毛絹混紡シャツも部分処理を行ったが、こちらも風合い等に全く異常が見られず、高速乾燥によって輪ジミ等も発生しなかった。

 今後「シルク絨毯」と「ムートンマット」の「スイトル+洗浄液」での洗浄を予定しているが、これも洗えるとなると(おそらく洗い自体はできる)劇的に「スイトル+洗浄液」の守備範囲が広がるだろう。

 従来では不可能に近かった縮むカーテンの「スイトル+洗浄液」洗浄も視野に入ってくる。今後は洗浄能力をいかに上げるかとか、洗浄スピードの高速化といった技術的な問題に視野が移っていくだろう。

にほんブログ村 その他生活ブログ 掃除・洗濯へにほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへにほんブログ村 その他生活ブログ 片付け・収納(個人)へ

-blog, クリーニング技術, ライフスタイル, 家庭でスーツが洗える「スイトル洗い」, 新しい家庭の洗濯についての研究, 最新情報
-, , , , , ,

関連記事

クリーニングをこう出せばいいの?と聞かれた話

 クリーニング業者にそれ聞きますか?という話なのですが、よく聞かれるんですよ、実は。いくつかの代表的な質問について、私のなりの正直な意見を書かせていただきます。 Contents1 冬物を片付けたいだ …

no image

皮革製品が普通に洗えるハイブリッド洗浄

、 皮革製品の洗浄もハイブリッドクリーナーは余裕でこなせる。ある種、究極の「水洗皮革洗浄機」なのだ。それは洗浄液を噴射した直後に液を吸い込むシステムに秘密があり、それによって皮革が長時間水に晒されるこ …

麻のレディース上下の汗の黄ばみを取る

 夏の時期になると必ずクリーニングに出てくるのが麻製品だ。この麻という素材は厄介で、破れやすく痛みやすく汚れやすい素材である。だが、ある種その「痛み」や「褪せ」の部分までも風合いの要素の一つを構成して …


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

    軟水器アクアソフトAQ-S401 レビュー  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」や「アクアソフトAQ-S401、ネットの片隅で起こった異変!」で度々取り上げてきたヤマダ電機子会社の住宅機器メーカー「ハウステック」が出 ...

    switle「スイトル」の実機レビュー1  以前より注文していた湿式掃除アタッチメント、switle「スイトル」がようやく届いたので早速、開封することとした。 Contents1 重くない箱2 スイトル本体を付属品と繋げる3 給水タンクの構造 ...

    家からウタマロクリーナーが消えた日  風呂場にあった「ウタマロクリーナー」のスプレー容器が消えていた。妻に「どこにやったの?」と聞いたら、「要らないから捨てた」という。まだ残っていたはずだったのにどうして捨ててしまったのか・・・・・ C ...

    switle「スイトル」の実機レビュー2  エントリー「 switle「スイトル」の実機レビュー1」では書ききれなかったスイトルの内部構造について、早速実機の写真を交えて見ていきたい。 Contents1 アクアサイクロン方式2 清水噴出部3 ...

    間違いだらけ!週刊ポストの「年金」記事  私が「年金受給が40代は70、30代は75を視野に?」を書きつつ、危惧していたことが現実となった。 怒りの徹底追及 年金は75歳までもらえなくなる 「働き方改革」に便乗した年金大改悪が年内にも閣議決 ...

    家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要  これまで洗濯と軟水の関係についてしばしば取り上げてきたが、あくまで業務用軟水器を使った話だった。では家庭用軟水器があるかといえば、実はなかなかというのが現状である。というのも日本は元々軟水の国で、浄 ...

    嘘だらけのネット情報。真のアクリル毛布の洗い方  家庭で使われる毛布の中でアクリルの毛布の割合はかなりのものになると思う。クリーニングの需要は年々減りつつも出てくる毛布の殆どはアクリル毛布。家やコインランドリーでも相当程度洗われているのではないかと ...

    家庭用軟水器三選! 3つの軟水器を徹底比較!  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」でも書いたように、家電大手ヤマダ電機系列のテックハウスが昨年12月に家庭用軟水器を発売したことによって、ニッチな市場である家庭用軟水器周 ...

    東芝新型洗濯機「ウルトラファインバブル洗浄」とは何か  東芝ライフスタイルが新技術「ウルトラファインバブル」発生装置を組み込み洗浄力を向上させた新型縦型洗濯機「ZABOON(ザブーン)」を近日投入する。「ウルトラファインバブル」とは、ナノレベルの極小の「 ...

    アクアソフト AQ-S401 軟水器アクアソフトAQ-S401 イオン交換樹脂の再生  ヤマダ電機系列ハウステック社が販売する家庭向けシャワー用軟水器「アクアソフト AQ-S401」設置から四日目。早くもイオン交換樹脂の再生作業が必要となった。ということで、早速作業に取り掛かることとし ...