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簡単にわかるタッパーウェア(Tupperware)の話

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 私の実家では長らくタッパーウェア(Tupperware、以下タッパー)を使っている。聞けば父の実家からの紹介だったといい、タッパーウェアが日本に入ってきて以来、使い続けているという計算になる。

 「タッパー」と言えば密閉容器の代名詞ともなっているが、タッパーと他の密閉容器の何が違うのかについて書いてみたい。

様々な形があるタッパーウェア

日本で登場して半世紀が経つタッパー

 タッパーは戦後間もなくの1946年(昭和21年)アメリカで販売された。丈夫で低温にも高温にも強く、エアタイトシール(密閉フタ)という発想が盛り込まれた、当時にはなかったプラスチック素材でできた新タイプの容器はアメリカの家庭で広く受け入れられた。

 特に画期的だったのはエアタイトシールで、容器内の空気を抜いてフタをすることで負圧をかけ、中に入れた食材等の漏れや乾燥を防ぐ仕組みによって、食材の鮮度をこれまでの容器に比べ保つことができるようになった。

 このエアタイトシールをタッパーでは容器の強度とフタの強度を変え、フタの大きさを少し小さくすることで実現させた。タッパーは生まれた瞬間から既に完成していたのである。

 アメリカで成功したタッパーは海外進出を図り北米と欧州に、1963年(昭和38年)には日本に進出した。東京オリンピックや新幹線開通の前年の話である。三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)が普及しだした日本では、この新しい食材容器は大いに歓迎された。

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そして私の実家に

 母親が初めてタッパーの話を聞いて魅力を感じたのは、容器内での食材の保存状態の良さだったという。これなら買ってきた野菜を痛めずに保存できるので処分しなくてよいのではないか。

 そう思った母親はすぐさま野菜保存用の大きめのタッパーとボウルタイプのタッパーを人に頼んで購入した。タッパーは高額で店頭ではなく、ホームパーティー形式での販売で、デモンストレーターと呼ばれる人を介しての購入方法のみだった。

 しかし高くても購入したタッパーに入れた食材の持ちの良さは段違いだった。モノの良さを確信した母親は冷蔵庫内に保存する容器はもちろんのこと、筒状のタッパーを入手して小麦粉やパン粉入れに用いたり、当時出たばかりの「クイックシール」(従来より固いフタで一押しで閉まる)の容器を購入して乾物入れに使ったりした。

 特に常温使用において、小麦粉などをタッパーに入れておけば湿気が来ず、虫が湧くといったことは使用して40年以上、一度もないという。これはタッパーの負圧をかける密閉方法の賜物であり、これだけでも価格以上の価値を感じたそうである。そして実家はいつしかタッパーだらけとなった。

クリックシールのタッパー

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タッパー容器の変遷

円筒状のタッパー

 タッパーはフタをする際に空気を抜くという作業を行うことによって力を発揮する。この空気を抜く作業に適した形は円形だった。そのため角型よりもボウル状や円筒状のものが主流だった。

 ボウル型に関しては容量6.5Lという巨大ボウルのタッパーまであって、実家ではこのボウルを使ってバラ寿司を作ったり、もち米を浸すのに用いていた。

 しかし円形状のものは並べると隙間が多くできるため、収納スペースの効率という面では落ちてしまう。そのため容器を楕円形にすることで密閉力と収納スペースの効率化を両立させたMMシリーズが登場して、実家のタッパーの主流になった。

 このMMシリーズは台所におけるシステム収納の先駆となり、ガッチリと収納したい多くの整理マニアが飛びついた。特にラベリストにとっては容器全てにラベルを貼り付けたいという欲求をくすぐるものだった。

 実家のタッパーを利用する場は食料品に留まらなかった。古いタンスを処分したあとに、着物を入れるために衣料用タッパー(スーパーケース)を導入。母親によるとこのケース購入時には福袋のように中にいっぱいタッパーが入っていたそうである。

システム収納の先駆、MMシリーズ

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タッパー普及の秘密

ボウル状のタッパー

 タッパーの普及に誰も指を加えて見ていることはなかった。ポリ製品を扱う企業は当然ながら類似の密閉容器を販売、こちらの方はスーパーや金物屋、雑貨店等の店頭販売が主流で、タッパーに比べて値段も安かった。

 ところが密閉度の高さと保存性が違っていた。また容器自体の持ちもタッパーの方が上で、私の実家では45年物のタッパーがゴロゴロあり、未だ現役というくらい強かった。性能や品質でタッパーは勝っていたのである。 

 販売方法にも普及の秘密があった。タッパーの販売を担っている人々はタッパーを使った食料品の保存方法や調理方法をアドバイスし、タッパーを購入すればタッパー製の小物などのオマケをつけていた。プラスチック製のスプーンやカッター、卵の黄身の分離器などのタッパー関連製品である。

 またタッパーでは容器を密閉する際に力を入れるため、フタがちぎれていく。そのためフタのみの販売が行なわれていた。このようなアフターサービスの良さがタッパーの普及を支えていたのである。

容器本体以上にフタがキモ

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食品関連機器や生活スタイルの変化

 このように性能が高く、強いタッパーだったが、近年タッパーを取り巻く環境は厳しくなっている。まず第一に冷蔵庫の高性能化。各メーカーが乾燥しやすい冷蔵庫内の食料品の鮮度を保たせる機構などを装備して販売しており、それによってタッパーの出番が減ってしまった。

 第二は100円ショップなどでの廉価な容器の登場で、タッパーに比べ性能が劣っていることを承知の上で使っているケースである。これは高額なタッパーを使わないという「節約」を行っているのである。

 第三は商品販売方法の変化で、以前なら一纏めにガバッと販売していたものが小分け袋詰めで販売されることが多くなったため、保存自体の必要性が薄くなってしまった。

 これは菓子などでも同様で、例えば「ムーンライト」などといったクッキーなどは以前なら箱売りで、タッパーに入れて湿気がこないようにするといった需要があったのだが、現在は全て小包装のため、湿気が心配がなくなった。

 つまり都度購入、小包装個包装といった食料品の販売スタイルの変化によって、以前に比べて一般家庭における生活シーンでタッパーの登場する場面が減ってしまっているのである。

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おわりに

 とは言え、タッパーの密閉容器としての性能や品質は折り紙つきであり、食料品のシステム収納では右に出るものはない。現在タッパーウェア社は鍋なとといった調理器具の分野にも手を広げる一方、世界中の食料文化の情報を吸い上げ、主力の密閉容器の改良を重ねて、売上高2500億のグローバル企業となった。

 容器の改良で言えば、当初はあまり重視されてこなかった冷凍庫保存には「フリーザーメイト」や電子レンジに使える容器、ランチケースやエコボトルといった携帯型保存容器など、従来のタッパーの利用用途から離れたものが作られている。

 一部でその販売方法や製品価格に批判はあるものの、製品そのものの優秀性を否定する情報は皆無であり、半世紀わたって使い続けられる密閉容器としてのタッパーの利用価値はまだまだ高い。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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