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片付ける筈がいつの間にか物が増えるラベリスト

投稿日:2017-06-11 更新日:

  世の中は矛盾に満ちている。社会を構成している人間そのものが矛盾を体現しているからだろう。片付けを行おうとしている人の中にも、モノを減らすはずが何故かモノを増やしてしまうという人々がいる。俗に言うラベリストである。
 
 今回はどうしてそうなってしまうのか、どうして減らすためにモノを買ってしまうのかという行動心理について考えてみたい。

片付けるために100円ショップに走り出す

 「ウチの嫁がまたケースを買ってきた」
 
 当方で働く60代の男性がそうボヤいた。この男性は夫婦二人暮らし、リタイヤして今は当方に週一回アルバイトとして働きに来ている方である。
 
 なんでも奥様は片付けると言っては、100円ショップに行って収納用品を買ってくるのだという。そして前の収納用品は使えるかもしれないからと残してしまうので、結果としてモノが増えて片付けにはならない。何をやっている意味がわからないというのである。
 
 「それ、ラベリストですわ」
 
 私は説明した。例えば棚に3つだったら3つをピッシリ置けるケースであれば、最大限モノがおけるので合理的だと考える。だが、分類が4つになれば4つピッシリ置けるケースを置いたほうがモノが置けると考えて、全て買い換える。それが「ラベリスト」であると。
 
 「それをムダというのでは・・・ 判らん」
 
 長年連れ添った夫婦であってもお互い理解できない部分や、知り得ない部分があるという。アルバイトの男性ご夫妻もそういう部分があるのだろう。ただ、だからといって関係性がこじれるような話ではなく、不思議な話で済むことなので、別段問題はないだろう。

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片付けるはずがモノが増える

 基本、片付けと称して、先に収納用品を一括して買ってくる人は、普段の整理にムラがある事が多い。やるときにはやるが、崩れるときには止められずに崩壊してしまい、最終的に半分放置してしまう、そんな感じである。

 定型業務化しようとするが、様々なイレギュラーな状態を想定せず、今、この瞬間に合わせた整理を行う傾向があるので、イレギュラーが積み重なると対処できずに整理システムが崩壊してしまうのだ。
 
 では崩壊した場合どうなってしまうのか。暫くの間、崩壊状態を惰性で続けた後、我慢できなくなって収納用品を買いに走り出す。つまり収納用品を買うことが整理システムのリセットという機能を果たしているのだ。
 
 だが、もちろん「リセット」する前のことについての後悔がある。そこで次こそは崩さない、という決意の証を収納用品に刻印する。それが「ラベル貼り」だ。「見える化」をしておくことで、整理システムを崩さないようにしていけるはず。このように考えて分類ラベルを貼っていくのだ。まさしく「ラベリスト」誕生の瞬間である。

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考え抜いたはずなのに

 ところがイレギュラーな事態が発生する。1つなら乗り越えられる。だが、2つ、3つと続く間に対応できなくなっていき、他のことにも追われながら、次第に崩壊への道を辿っていく。そして収納用品にラベルに書かれていないものが入れられるようになり、一つのシステムは終焉を迎える。
 
 これは「今、そのときの」状況を最大化して整理分類するために、その状況では美しく整理できても、状況が変化して使うものが変わってしまうと、対応できずにシステムが歯が立たなくなってしまうからである。直接は関係ないが、このときラベルが剥がされることがないのも特徴の一つで、これが崩壊のサインの一つと見ても良い。
 
 つまり根を詰め、採寸し、収納物を精査し、レイアウティングを突き詰めてしまったがゆえに「遊び」がなくなってしまうのだ。暮らしは時間が止まっているわけではなく、常に変化しているわけで、変化を前提としたシステムを主眼に置くことを強く意識しないと、このように崩壊してしまうのである。
 
 しかしラベリストの整理の崩壊理由はそれだけではない。

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手段はやがて目的化

 モノを減らし、片付けを進めるため「見える化」を推進するために行う「ラベル貼り」。最初は片付けるために行うつもりだったその「ラベル貼り」が、いつの間にか主体的な目的となり、整理片付けが脇に追いやられてしまうようになる。
 
 限られたモノで管理をしていくことを目指したはずが、「見える化」から「見せる化」へと変化し、やがて「魅せる化」へと突き進む。こうなってくると「統一感」や「シンメトリー」にこだわるようになっていき、ラベルの柄や位置、フォントやマークなどが気になってくる。そして本題の片付けは忘却の彼方に捨て置かれるのだ。
 
 一方、かつて使っていた整理用品は「万が一」何かがあったことに備え、保管される。そして多くの場合、「万が一」が訪れることもなく、打ち捨てられ、最終的には処分される道を辿る。違うのはそれが三ヶ月後か、四半世紀後か、その程度の違いでしかない。

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おわりに

 このようにお整理片付けから離れ「魅せる化」に突き進む「ラベリスト」はの中には、趣味の域にまで達するまで究めている人もおり、そうなると整理片付けには何の参考にもならなくなってくる。ここまでくれば娯楽であり、新ジャンルと言ってもいいのではないかと思う。
 
 そしてこの「ラベリスト」の潜在人口は日本の過半数を超える最大勢力であり、これで日本の経済が回っているといってよいくらいの多数派である点を指摘しておいていいと思う。
 
 ちなみになんで私がそんなことが判るのかと言えば、私自身が潜在的ラベリストだからである。だからこそ注意を払い、そうした方向性に走らないよう常に留意しているのである。もし取り組めば、カネと労を躊躇なく注ぎ込んでしまうだろうから。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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