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漬け込み洗いを過去のものにするハイブリッド洗浄

投稿日:2017-05-18 更新日:

 毛や絹などを水で洗うため、古くから行われている「漬け込み洗い」。水溶性の汚れは取れるものの、風合いや型崩れを起こしやすく、素材形状によっては元に戻せないものがあるなど、問題点も非常に多い。

 これを解決すべく近年、資材と技術の向上によって「ウェットクリーニング」と呼称を衣替えするに至った水洗いだが、設備の側でもアプローチが行われている。その一つが「ハイブリッド洗浄」である。

ハイブリッド洗浄機 宮田工機製

回さない、絞らないクリーニング

 従来、水洗いは機械力を使ってドラムを回すか、漬け込み洗いのように押し洗うかを行った後、必ず脱水で「絞り」工程を行なう。ところが一定条件が重なると繊維の縮みやフェルト化を起こす。

 繊維は多かれ少なかれ縮む。これは細い糸を捻って束ねるという繊維の構造上当然の事だが、3つの要素のうち、二つの要素が重なると、特に起こりやすくなる(目に見えるレベルという点で)。

 その要素とは、機械力、熱、水。現在行われている殆どの絞りでは機械力と水が絡んでおり、この工程で繊維の縮みとねじれが促進されている。これを設備側では解決するために「高速脱水絞り」(ドラムの縁に被洗物へばりつかせ、機械力がかからないようにする)などの機器が作られているが、そもそもドラムを使わずに洗って絞るという方法で、この問題を解決したのが「ハイブリッド洗浄」である。

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ハイブリッドウェットクリーナー

 ハイブリッドクリーナーは近年増えてきた従来の洗濯法では洗うことが難しい衣料(難洗衣料)を洗うためにクリーニング業者とクリーニング関連機器の宮田工機によって開発された。

 その構造は、台の上にバキューム専用ノズルに仕込まれた高圧の噴射ノズルで洗浄剤を吹き付けながら水をノズルと台自体で吸い取り、洗いと絞りとを同時に実現するというものである。

 この構造、アレ?と思われる人がいるかもしれないが、実は最近シリウス社が販売を開始した「switle(スイトル)」と基本的には同じである。これは開発の根幹を同じ人が担っていることによる。

 もちろん決定的に違う部分もある。水の噴射方法だ。ハイブリッドクリーナーでは液の噴射はポンプによるもの、対してスイトルは吸引の負圧を使った自律型。前者より開発の歳月が過ぎたことと、提携した企業が業務志向か民生志向かによる違いで構造が大きく変わった。

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どのように使っているのか

 基本的な流れとして被洗物には事前に専用前処理剤を噴霧しておいて機器にセットし、機器の水スプレーで服全体に水をなじませ、そこからノズルで洗浄剤をスプレーしながら吸引し、最後はバキュームのみで乾かす。

これに関しては動画を見たほうがいいだろう。クリーニング関連卸の日東商事さんが、機器の実演動画を公開している。

 このように「洗う」事自体には技術的に大きな障壁はない。極端に言えば誰にでもできる。問題は汚れやシミの見極め、生地の見極めである。安全とはいっても100%ではない。水を媒体とした洗浄液のため水がかかった時点でアウトの品物もあるので、そういった衣料は無理なのである。この見極めに経験と技量が必要となるのだ。

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業界内での実際の普及

 難洗衣料洗浄機として販売されているハイブリッドクリーナーだが、基本的に殆どの服が洗える。普段着ているスーツやセーター、コートなども当然洗える。が、点数の少ない小規模店では場所の制約と機器の購入費で二の足を踏んでいるのが現状である。

 開発サイドの専門店の技術向上という思いとは裏腹に、現実問題として導入しているのは場所の制約が少なく資本力のある業界大手と、難洗衣料の出る頻度の高い高級志向のクリーニング店である。

  実は当方も開発中から検討してきたのであるが、点数減やら店舗撤退やらがあって導入できずじまいであり、店舗撤退後にドライ点数が減るのでドライ機との置き換えを検討したが、ドライがまたもやそこそこの量になったため断念した経緯がある。

 量を捌く時代から、点で処理する時代になったとはいえ、まだまだドライ系の「量」自体はあるので、洗いのみの観点ではドライ機に比べ生産性が大きく劣るハイブリッドクリーナーは、従来の洗いを重視する業者にとってはそれが導入へのネックとなっている。

 反面、服に機械力がかからないので、繊維の破れほつれやボタン割れ等のトラブルが皆無で、絞りもないため絞りもつかず、乾燥も天日干しで済むことから、仕上げの生産性はドライ機を越えるものがある。このあたりをどう考えるべきかは、業界ではまだ模索中であると言えよう。

 

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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