クリーニング実践編 クリーニング技術 クリーニング業界談 最新情報

水洗した服の襟に油脂が残っていたのでドライした

投稿日:2017-05-22 更新日:

 当方では汚れた作業服は水洗で一発洗い(単発処理)を行っている。理由は単純で一般価格よりも安い価格で請け負っているからだ。そういう訳で洗った後は基本、仕上げて渡すのだが今回、仕上げていて気になった作業服を止めて再度処理することにした。

止めた作業服

止めた作業服、襟に油脂汚れが残っている

汚れが残った原因

 止めたのには訳がある。この作業服の襟「だけ」に油脂が残っていたからである。着ておられる方が長く着られていたのか、その方の体質なのか、その辺りどうしてこの作業服だけに残っていたのかは不明である。

 が、この汚れは本来水洗処理だけで落としきれる汚れのはずだった。というのもそれ以前の、前回の洗いの際には普通に落ちていたからである。何故残ったのか。

 実はこの洗い、いつもより多くの被洗物が入っていた。最近、こうした作業服が増えて30キロ機に複数回に分けて洗わなければならなかった。が、今回はちょっと量は増えたものの一回で洗えそうだったので洗ったのだ。

 どこでもそうだろうが、多少のオーバーであれば全部入れてしまうのが人の常。これはクリーニング屋に限らない話だろう。結果、汚れが取り切れていない被洗物が出た訳で、この対処を行うには一回あたりの洗濯量を減らすか、洗剤を増やすしか無い。

 また当方ではちょうど、どこまで洗剤を減らせるのかを検証中で5g単位で落としていたので、それが一因だったことも考えられる。落としていたのは粉末洗剤と過炭酸ナトリウム。粉末は従来の3分の2の60gに過炭酸ナトリウムは70gから50gまで落としていた。

 ちなみにこの数字、家庭洗濯の6~8倍量の機械で2.5倍量の洗剤量しか入れていない状態で洗っている計算となるので、知ってる業者はのけぞるレベルだと思う。

目次に戻る

取る汚れ、取らない汚れ

 作業服に関しては、全ての汚れを取ることよりも先ずは鉱物油のベタつきと汗や皮脂汚れを取ることが求められる。こすってついたような黒い汚れは第二第三。とにかく次着用して作業できるレベルの洗いを求められる。

 つまり写真であるような黒い汚れを取ることは重要ではなく、残るのであれば残って構わない。だから料金が安いともいえる。だが脂汚れは残ってはいけない。これは普通に洗ったら取れるものだからだ。だから取れていなかったら取らなければいけない。

 この汚れを取るために作業服をドライクリーニングで洗った。

目次に戻る

ドライクリーニングの本領

 ドライクリーニングは本来「油汚れ」を落とす洗浄で、かつて水洗いしかできず、洗剤の性能が悪かった時代には「よく取れる洗い」としてありがたわれたという。今から半世紀くらい前の話だ。

 その後、繊維の多様化、洗剤の高性能化、ライフスタイルの変化などが相まって、一部ではまるで「取れない洗い」であるかのように言われるようになった。だが、言っている人で実際に作業に従事し続けている人は「いない」のである。世が変化するようにドライの洗いも変化するからである。

 ここで溶剤特性などを書けば一冊の本になるレベルのため割愛するが、要はドライクリーニングは油を落とす洗浄法であること、ドライには強力に油汚れを落とす有機溶剤系と、それより弱い(有機溶剤の3分の1の溶解力)が扱いが容易な石油系があること、そして今現在日本で使われているドライ溶剤の殆どはその石油系であることを把握してもらうだけで充分だ。

 そして汚れの残った作業服をドライクリーニングで洗った結果、

ドライクリーニング後

ドライクリーニング後、襟汚れは取れている

 襟の油脂汚れは全て取り除かれていた。これを水で取ろうと思えば色々な処理を行わなければならないが、ドライなら一発である。洗浄力が弱くてこれなら、強かったらどうなるのかという話にもなる。油脂洗浄力はいくら水洗が通常の範囲で頑張ってもドライクリーニングには勝てない。

目次に戻る

作業服に残った黒い汚れは取れないのか?

 実は取れます。これはその部位に蒸気ガンを当てて柔らかくしながら、ドライ溶剤のガンで当てると取れる。ただその手間は半端なく、それだけの費用を支払うか、あるいは支払える価値があるのかを考える必要があり、購入価格をこえるクリーニング料金に意味があるのかと言う話になってしまう。

 ですので最近、そこまでシミシミ言うのだったら、クリーニングの前に捨てることを視野に入れるべきではないかと業者離れの視点を持つようになったのである。

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 掃除・洗濯へにほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへにほんブログ村 その他生活ブログ 片付け・収納(個人)へ

-クリーニング実践編, クリーニング技術, クリーニング業界談, 最新情報
-, , ,

関連記事

洗浄液プロトタイプ

switle「スイトル」で純毛100%毛布を洗う 1

 シリウス社が出している湿式掃除機アタッチメント「switleスイトル」を入手し、これまで2回に分けてレビューを行ってきた。 switle「スイトル」の実機レビュー1 switle「スイトル」の実機レ …

本棚整理から見る片付けタイプ4選

 長年、人々の整理術などを分析していると色んな事に気づく事がある。「本棚整理」もその一つだ。不思議なことに大体4つのタイプに大別されるのだ。  そこで今回は「本を買った。買ったはいいが本棚は一杯」。そ …

ムートンカーペットのスイトル洗いを再検証

 以前「ムートンカーペットを家でスイトル洗いする」で、ムートンカーペットをスイトル洗いで洗浄できる事が証明されたが、どの広さを洗うのにどれぐらいの時間がかかるのか、あるいはどれくらいの洗浄液が必要とな …


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

    知られざる「タイムズクラブカード」の使い方  タイムズ(Times)と言えば駐車場サービスの大手であり、街のあちこちに時間貸し駐車場が展開している。最近では路上の駐車場に留まらず、店舗の駐車場スペースなどの管理も請け負って「タイムズ駐車場」とす ...

    軟水器アクアソフトAQ-S401 レビュー  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」や「アクアソフトAQ-S401、ネットの片隅で起こった異変!」で度々取り上げてきたヤマダ電機子会社の住宅機器メーカー「ハウステック」が出 ...

    家からウタマロクリーナーが消えた日  風呂場にあった「ウタマロクリーナー」のスプレー容器が消えていた。妻に「どこにやったの?」と聞いたら、「要らないから捨てた」という。まだ残っていたはずだったのにどうして捨ててしまったのか・・・・・ C ...

    switle「スイトル」の実機レビュー1  以前より注文していた湿式掃除アタッチメント、switle「スイトル」がようやく届いたので早速、開封することとした。 Contents1 重くない箱2 スイトル本体を付属品と繋げる3 給水タンクの構造 ...

    本当にいいのか?日立ビックドラムの「ナイアガラすすぎ」の是非  クリーニング業界で「ナイアガラ」と言えば、東京洗染機械製作所の「ナイアガラドライ」を真っ先に思い出す人も多いだろう。大流量の溶剤を一気に流して洗うのを「ナイアガラの滝」に例えたネーミングだが、今回は ...

    家庭用軟水器三選! 3つの軟水器を徹底比較!  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」でも書いたように、家電大手ヤマダ電機系列のテックハウスが昨年12月に家庭用軟水器を発売したことによって、ニッチな市場である家庭用軟水器周 ...

    嘘だらけのネット情報。真のアクリル毛布の洗い方  家庭で使われる毛布の中でアクリルの毛布の割合はかなりのものになると思う。クリーニングの需要は年々減りつつも出てくる毛布の殆どはアクリル毛布。家やコインランドリーでも相当程度洗われているのではないかと ...

    家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要  これまで洗濯と軟水の関係についてしばしば取り上げてきたが、あくまで業務用軟水器を使った話だった。では家庭用軟水器があるかといえば、実はなかなかというのが現状である。というのも日本は元々軟水の国で、浄 ...

    正直、アイロンにスムーザーは「要らない」と思う  「スムーザー」とは、花王が販売するアイロン用シワとり剤の名称であり、正式には「キーピング スムーザー」と言って、その名の通り糊剤に位置付けられる製品である。  で、いきなり「要らない」なんてタイトル ...

    アクアソフト AQ-S401 軟水器アクアソフトAQ-S401 イオン交換樹脂の再生  ヤマダ電機系列ハウステック社が販売する家庭向けシャワー用軟水器「アクアソフト AQ-S401」設置から四日目。早くもイオン交換樹脂の再生作業が必要となった。ということで、早速作業に取り掛かることとし ...