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本当にいいのか?日立ビックドラムの「ナイアガラすすぎ」の是非

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 クリーニング業界で「ナイアガラ」と言えば、東京洗染機械製作所の「ナイアガラドライ」を真っ先に思い出す人も多いだろう。大流量の溶剤を一気に流して洗うのを「ナイアガラの滝」に例えたネーミングだが、今回はそういったマイナーな話ではなく、日立が出している家庭用ドラム式洗濯乾燥機「ビックドラム」のプログラム「ナイアガラすすぎ」についてである。

日立の洗浄プログラム

日立のBD-NX120A

 約10年に渡って「ビックドラム」の名にふさわし家庭用の大型ドラム機を世に送り出してきた日立だが、その大きなドラムの高低差を生かした上に、強力な循環ポンプで衣類に洗浄液をふりかけて浸透させる洗浄プログラムを「ナイアガラ洗浄」と名付け、ビックドラムの売りとしている。

 また40℃の温水コースでも同様の洗浄コースを用いたものを「温水ナイアガラ洗浄」と名付けており、両方とも「もみ洗い」「おし洗い」「たたき洗い」を組み合わせてた強力洗浄をうたっている。

 日立に限らず家庭用ドラム洗濯機は小型機で効率的に水を回すため、みな「ポンプ」を内蔵しているが、業務用水洗機にはそのようなポンプは存在せず、ただただドラムを回機械力一本で攪拌している。こういった点は実は家庭用ドラム式洗濯機の方が業務機より勝っている点で、「ナイアガラ洗浄」はそれを生かしたプログラムであるといえる。

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ナイアガラすすぎ

 洗浄の際に使っているこの強力な循環ポンプを使い、ふんだんに水を投入してすすぎ力を増強したプログラムを「ナイアガラすすぎ」と銘打っている。これはポンプとドラムの機械力に従来の倍の水を使い「洗剤をしっかりしすすぐ」としたものである。

 確かに水を倍入れれば、すすぎ力が増すのは誰でもわかる。洗剤が悪いものだと喧伝する一部情報を信じて、とにかく徹底的にすすぎたいという心理をもつユーザーの要望に応える形での「しっかりすすぎ」プログラムなのだろう。

 だが、それは本当に正しい考え方なのだろうか? まず洗剤は汚れを落とすためには必要不可欠なものである「必要悪」という意識が欠落していないか、という点。次にバックライトを当てて反応がなければすすげているのかという点。この二つの部分において「ナイアガラすすぎ」の表現には問題があるのではないか。

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すすぎの意味を考える

 そもそもすすぎとは何のためにやるものなのか。汚れを除去し役目を終えた洗剤の溶液(洗浄液)を問題が起こらない程度に「薄める」ことが目的である。

 気をつけなければならないのは「ゼロ」ではないという点だ。逆に言えば「ゼロ」にはできない。そしてそのゼロを目指すには倍の資材とエネルギーがいる。

 洗浄自体とは直接関係ないがドライクリーニングの液管理研究で、液の中の汚れを除去するのに、コンマ1(0.1%)まではそんなに難しくなくてもコンマ01(0.01%)を実現しようと思えば倍の資材が必要となった。

 それと同じことで、より精度を高めればそれに費やす労力は倍化する。そして問題はそこまでしなければいけないことなのかということである。

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バックライトで光るものの正体

 バックライトを照射すると光る水。あれこそが蛍光増白剤だ。つまり洗剤に含まれる蛍光剤の残留の有無を尺度として使っているのである。

 であるならば蛍光剤を使っていない洗剤ならばどうなるのか? 無蛍光をうたう洗剤は実際に多いわけで、それで洗えば大してすすげていなかったとしても、バックライトで色は光らない。それは「すすげている」とでもいうのだろうか?

 重要なのは「すすぎ」自体の能力であって「蛍光剤」の残留の有無ではないはずである。しかしそれをあたかも「蛍光剤」の有無が「すすぎの証」であるかのような見せ方というのは、立派なメーカーのしっかりした製品の宣伝のやり方としてどうかと思う。

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おわりに

 色々なしがらみ(洗剤メーカー等)や何かにつけて毒・毒と触れ回る「呪術師」のお告げを信じてメーカーを突き上げるユーザーがいるのかもしれない。

 だが仮にもテクノロジーで生きる企業である以上、例えば私が取り組んでいる「減洗剤」であるとか、「減水量」であるとか、そちらの方にもっとシフトしてほしい。というのも日立はかつて軟水器付き洗濯機を発売していたという伝説の猛者だからである。

 テクノロジーで社会に貢献する。その方が建設的であり、人として燃えるではないか。訳の分からない呪文を唱える前時代的な者の言葉に囚われることなく、もっと前向きな技術をアピールしてほしい。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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