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抗菌剤のこれまでの歩みとこれから

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 「抗菌」については「抗菌薬」など医療分野で使われる表現だが、生活用品でも同様に「抗菌」を用いる表現は数多くある。

 この「抗菌」は大きく分けてこの2つの分野に別れるが、ここではクリーニングを含む「家庭用品」分野における「抗菌」や「抗菌加工」「抗菌剤」のこれまでの経緯や概要について書いていきたい。

衣料用途だった「抗菌加工」

 世に「抗菌加工」を謳う商品が出たのは昭和50年代、紳士用靴下に抗菌加工を施したものが販売されたのが最初だったという。この靴下は衛生的でニオイなどに効くということで売れ、繊維業界に「抗菌加工」は付加価値がある、という認識を持たせることになった。

 クリーニング業界には、しばらく後に導入され、80年代後半よりドライクリーニングの助剤として本格的に普及しだした。抗菌剤が使われた主な溶剤は石油系溶剤(ゾール)で、液管理が複合溶剤であるため有機溶剤より難しく、濾過で除去しきれない脂肪酸のニオイなどを抑える材料として用いられた。

 ただクリーニング用途の資材としては高額だったため、資材販売業者がドライ溶剤に添加するドライソープ(ドライクリーニング用途洗剤、一般の洗剤とは用途目的が異なる)の中に投入し、「抗菌剤配合」と銘打って販売する形が主流だった。

 ここで問題になるのが「配合」で、一斗缶(18L入りのスチール缶)に1cc入れても「配合」となるわけで、実際にはあまり効かない「抗菌剤配合ソープ」などが出回るケースもあった。

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水溶性抗菌剤

 この抗菌剤の効きの問題に関して「抗菌剤」単体を直接手に入れ、こちら側(クリーニング業者側)が任意投入したほうが確実だということで、資材業者を当たって仕入れたのが私と抗菌剤の関わりの始まりだった。

 抗菌剤単体は同量のドライソープよりずっと高額で、殆どの業者が手を出さない理由が分かったが、自身で配合すると他の「配合ソープ」とは比べ物にならないくらいによく効いた。実際の話、気休め程度にしか配合されていなかったのである。

 ただ、この抗菌剤はドライクリーニングでしか使えないものだったため、水洗いでは使えなかった。そのため水洗いに使える抗菌剤を別途探し求めて、これを入手。効きがイマイチだった為、別の種類の抗菌剤を手に入れて、これを調合し使用するようになった。これが当方で今も使っている「水溶性抗菌剤」の始まりだった。

 この抗菌剤を使って「抗菌加工」の販促を行なったのだが、加工費用が別途かかるのが悪かったのか不評だった。しかしクリーニング料金内に含まれる「抗菌加工付」として売り出したら荷が集まったので「別途費用は出したくない」が、同じ出すなら抗菌加工付をという差別化を図る程度の価値はあったようである。

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「抗菌加工」品の普及

 90年代後半、病原性大腸菌「Oー157」の集団感染によって細菌対策の必要性が知られるようになると、製品に菌を繁殖させない加工を施す「抗菌加工」に注目が集まり、台所周りなどを中心とする生活用品を中心に「抗菌加工製品」が出回った。

 この「抗菌加工製品」はやがて生活用品全般に広がり、更には机のマットなどの事務用品や、こどものおもちゃ、身の回り品に至るまで抗菌加工を施した商品で溢れかえるようになる。

 この抗菌加工ブームによって2000年代初頭には、生活用品の殆どに抗菌加工が施されるようになったが、一方で本当に効いているのか分からない「効き」の問題や、成分が溶け出したりして副作用をもたらす可能性について言及されていく。これを受けて各業界ではガイドラインが設けられるようになった。

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おわりに

 こうした流れの中、当方と取引先などから「抗菌」や「消臭」に対する相談を受けるようになり、以前より当方で使っている「抗菌剤」を販売する機会を得るようになる。中にはわざわざ紹介されて抗菌剤を譲ることになるようなケースもあった。

 医療的「衛生」の概念とは全く異なる「抗菌」の概念が、これほど広く社会の中に浸透したのは、ニオイ等に起因する「感覚的な衛生概念」が社会の共通意識となった部分が大きい。それゆえ誤解なども生まれているが、一度根付いた意識は容易には変えられないだろう。

 ただ一つ言えることは需要動向を見るにつけ、今後も「抗菌」あるいは「消臭」の需要は伸びることはあっても減ることはないということだ。人々が「抗菌」や「消臭」を求め続ける以上、関連製品は今後も増え続けていく。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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