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手仕上げは本当にいいのか?着物仕上げ器から考える

投稿日:2017-05-24 更新日:

 「一点一点手仕上げの店」

 ときどきそういった看板を掲げる店がある。利用されるお客様もオールアイロンの方が丁寧な仕事をしていると感じるのだろう。しかしそれは半分当たっているような、半分当たっていないようなである。

 というのも当のクリーニング業者で「オールアイロン」が素晴らしいなんて言ってる人と会ったことがないからだ。どうしてかというと当たり前の事だが、人間の加圧力と機械の加圧力がまるで違うからだ。

 例えば今のYシャツ仕上機でかかる胴体の加圧は1.5t。人間など足元にも及ばない力である。この圧力で濡れがけプレスをして仕上げるのだから、キレイになって当たり前なのである。しかし現状「アイロン手仕上げ」神話は崩れてはいない。

 そこで今回は「リッパー」という着物の立体仕上げ器を通し、道具を使った仕上げとアイロン手仕上げの上がりの違いについて比較していこうと思う。

和洗の神様が考案した仕上治具「リッパー」

 着物は言うまでもなくデリケートな品物である。絹100%、上限に天井なしと言われる価格、扱いに一般の洋服とは違う難しさがあり、洗いから仕上げに至るまで、考え方ややり方そのものが大きく異なる。

 多かれ少なかれ衣料は洗うと「必ず」縮む。これを伸ばすのがプレス工程なのだが着物の場合、細心の注意を払っての洗い(ドライ丸洗い)であっても縮みの幅が大きく、業者にとって悩みのタネだったという。

 そこで長年着物洗いに携わってきた熟練業者の方が、独自に道具を使った着物仕上げシステムを考案した。それが「リッパー」を使った着物立体仕上げである。百聞は一見にしかず、先ずはリッパーのセットからご覧いただきたい。

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驚異の着物立体仕上げ

 リッパーによって立体化された着物は、立体のまま仕上げ工程に入って仕上げられる。それまで平面しかなかった着物仕上げに「立体面」が加わったのである。

 立体状態でアイロンで撫でているように見えるが、さにあらず。アイロンと生地を密着させつつ、微妙に浮かせて蒸気を出している。単に動画を見るだけではなかなかわかりづらい部分もあるだろうが、服の「上がり」にとって非常に重要。

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大変な着物のアイロン仕上げ

 このアイロン台には着物を均一に伸ばすため、固定機器が設置されており、洋服メインのクリーニング業者の設備とは全く異なる。また動画を見ると、着物の仕上げに非常に労力と神経を使っているのがわかる。

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リッパー仕上げと手仕上げの比較

 リッパーで仕上げた着物とアイロン台で手仕上げした着物との仕上がりの比較を行っている。特に袖部分の仕上がりに決定的な差があるのがわかる。また着物の伸びがまるで違う。「上がり」が全く違うのだ。

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さいごに

 これをご覧になってわかるように、手仕上げでは機器の仕上げには絶対に敵わないのである。ただ大まかな仕上げとなる機器仕上げに対し、細かな配慮のできる手仕上げであり、設備を持ち仕上げに手をかける業者の方が優れているといえる。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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