家庭用洗濯機 最新情報

家庭用ドラム式洗濯機はどうして大きくなったのか

投稿日:2017-07-09 更新日:

 家庭用のドラム式洗濯機の容量は近年大型化している。パナソニックのNA-VX9700Lは11Kg、日立のBD-NX120Aに至っては12Kgだ。容量だけなら一番小さな業務用水洗機(10Kg)と変わらない。家庭用ドラム式洗濯機はどうして巨大化の道を歩んでいるのか?

BD-NX120A

最初の容量は7Kg

 1995年(平成7年)、シャープは国内家電初のドラム式洗濯機を発売する。「新乾洗」と名付けられたその機種は、乾燥機能までを備えた画期的な洗濯機だった。

シャープの「新乾洗」

 国内家電初というのには訳があって、それ以前にメイコー・エンタプライズという会社が「マルパー」というドラム式洗濯機を世に送り出したからである。このマルパーは後に日本の家電メーカーにOEM供給されている。

 話は戻るがこの「新乾洗」。シャープから発売されたが、中身はスウェーデンのメーカー・エレクトロラックスのもので、イタリアで生産されたものだった。シャープが作ったのは操作パネルとプログラム部分である。

 この機器は30℃、60℃洗いができるなど先進的だったものの、重量が重かったり、振動が激しかったり、絞りに時間がかかったりと不評も多かった。またパネル部が弱く潰れやすいという難点があり、この部分には大きな課題があった。

 またエレクトロラックス仕様ならば温水口があるのに殺されてしまっていたりしたのも勿体ない部分で、日本でドラム式洗濯機が認識されつつも、まだまだという時代だった。

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DDモーターの登場

 振動が激しいのはドラム式の構造上の宿命だったことと、機器そのものが小型だったことに起因する。機器が小さければ当然モーターが小さくなってしまいパワーが落ちるからである。しかし機器が大きくなると今度は洗濯場に設置できない。

 その矛盾する問題に対する一つの解法を東芝が出した。従来、モーターの力をドラムにベルトを通して伝えていたものをドラムに直接、駆動モーターをつけたのである。

 「ダイレクト・ドライブ・モーター」。これによりベルトレスとなって騒音が減り、モーターがドラム後方に回ったことで、センター重心で振動が少なくなった。日本ドラム式洗濯機史上、画期的な技術だった。

DDモーター採用の東芝のTW-70

 実は東芝、日本初の洗濯機を発売し、全自動洗濯機を最初に量産するなど日本の洗濯機業界のパイオニアなのである。東芝によってもたらされたDDモーターはその後のドラム式洗濯機の流れを決定づけるものだった。

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そしてドラムは拡大路線に

 DDモーターはドラム式洗濯機のレイアウト自体を変えた。従来あったモーターとベルトが消え去ったため、それまでのドラムの大きさの制限がなくなったのである。

 どういうことかというと、洗濯パンの大きさに合わせた機械の作りでは7Kgが限界だったものが、筐体が同じ大きさであってもドラム径を大きくすることができるようになったのだ。

パナソニックの11Kg機 NA-VX9700L

 

 まず8kg機が登場し、2000年代後半には9Kg機が、そして2010年代には10Kg機とより大きくなったのである。筐体の幅を維持しつつ奥行きと高さを取りながら、ドラム径は大きくなった。

 「そこまで大きくなくても・・・」

 今の大きさで事足りる。一部のユーザーからはそのような声が上がるも、それを無視するかのようなドラムの巨大化。しかし、メーカー側はその声に耳を塞いでも巨大化させなければならない理由があった。

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ドラム巨大化の意味

 ドラムを巨大化させているのはユーザー側からの要望に応えたものとは言い難い部分がある。というのも使っている人の多くが家庭用ドラム式洗濯機の適量を知らず(ドラム径の3分の1量)、その状態で巨大化への強い要望が出るとはとても思えない。しかし現実は巨大化しているのだ。

 では、それでもメーカー側がドラムを巨大化させる3つの理由を挙げる。

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洗浄力の強化

 ドラム式洗濯機とは、そもそもドラムの回転によって被洗物を上から下に叩きつける「たたき洗い」を行う機器である。よってドラム径が小さければ小さいほど高低差が小さくなるため、洗浄力は弱まるということになる。逆にドラム径が大きくなれば洗浄力が増すわけで、そのために大きくなった。

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乾燥機能の強化

 乾燥機として使う場合、実はドラム径は洗濯機より「大きく」なくてはいけない。当方の場合、22Kg水洗機のときには23kg乾燥機だったが、水洗機が30Kg機になった現在、正直50Kg機ぐらい欲しい心境である。

 ドラム式洗濯乾燥機の購入動機の大きな要素を占めるのは「乾燥」であり、乾燥力強化の為にはドラム径が大きくならなければならない。

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脱水能力の強化

 実はこれが一番大きかもしれない。ドラム式洗濯機は脱水時、構造上均一に被洗物がドラム外周にへばりつくわけではないため、バランスエラーが起こりやすい。ドラム径が小さければ、許容される「揺れ」の幅が小さくなるので、よりバランスエラーが起こりやすい。

 それを防ぐには重心を低くし、外周を大きくする(=ドラム径)れば、「揺れ」の幅を取るためには一番効果的であり、結果バランスエラーの回数の低減に繋がるからである。

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おわりに

 思えば1970年代にソニーが輸入したミーレの家庭用ドラム式洗濯機は10Kg機で、大きく力強く、無骨なその風体で95℃までの熱水洗濯に対応した機器は、欧米と日本の洗濯に対する意識の差をまざまざと見せつけた。

 それから40年。日本の家庭用洗濯機事情は様変わりをし、温水を操り、ドラムからポンプからプログラムに至るまで、細やかに、かつ高精度な洗濯が行えるようになった。

 そうした機能を活かすには、活かし切るにはドラムは大きくならなければならないのである。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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