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家を買ったが苦しいので売りに出している人の話

投稿日:2017-08-01 更新日:

 高校時代の友人と話していた時のこと。借金話となり、私の会社の創業以来の借金の金額と返済過程の話をした。無一文で始めたこと、無一文ゆえに運営費用も設備投資も借財からスタートしたこと、一番多いときには月額100万以上の支払いに達したことなどについてである。

 その流れの中で会社優先のため、家の購入を見送った経緯の話をした。内容は会社自体に内部留保が少ないため、万が一の事があった場合、個人に借財があれば全く身動きが取れなくなることから見送っているといった話だった。すると友人は言った。

「身動きが取れなくなるよなぁ」

 聞くところによれば、購入した家を売りに出しているという。買ってから3年目で売りに出したのだが、それから4年経っても買い手がつかないという事であった。生活は苦しいという。どうしてこんなことになってしまったのか。

始まりはリーマンショック

 みなさん覚えておられるだろうか? 2008年(平成20年)アメリカ発の世界的不況で、この影響は日本にも及んだ。そのため政府は萎縮した経済活動を活性化させるため、様々な政策を打ち出す。そのうちの一つが「住宅ローン緩和」だった。

 簡潔に言えば「頭金なし」でローンを組めるようにしたのだ。これによって冷え込んだ住宅購入の機運を再び盛り上げるカンフル剤とし、更に補正予算によって大幅に融資枠を拡大させたのである。

【頭金なしで住宅ローンが組める】

 友人はこの報に乗った。俺にも家が買えるということで、それまで興味すら湧かなかった物件情報を食い入るように見たという。この時の友人にとって「リーマンショック」は福音そのものであった。

 聞けばマンションは最初から眼中になかったのだという。買うなら一軒家、そう決めていたのである。やがて一つの新築物件とめぐりあい、購入を決意する。

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夢のマイホームが足かせに

 ところが購入して間もなく夢は冷めてしまう。まずローン外の支出がバカにならないからである。それまで賃貸マンションに住んでいた友人にとっては「想定外」のことばかりだった。

 それまではローンのお金のことしか眼中になかったが、現実には割高な電気代や通信費、固定資産税など、友人にとっては予定外の出費が相次いだ。当初予想していた生活よりも様々な費用が重く家計にのしかかる現実に気づいたのである。

 しかしだからといって給与が上がるわけでもない。生活を維持するため、残しておいた僅かな蓄えは目減りしていく。これではいかんということでバイトを始めるような有様だったが、何のために働いているのかわからなくなり、嫌気がさすのにさして時間がかからなかった。そして物件は売りに出された。

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しかし物件に買い手がつかない

 しかし今度は物件が売れない。場所と建物が提示した金額に見合わないために買い手がつかないのだ。ところが友人にとってその金額は容易に下げられない。ローンを完済しなければ次の家に移り住めないからだ。そのため、ローンの大半を払える金額でしか売ることができないのである。

 なぜ売れないのか。なんといっても先に挙げているように場所が悪いということ。逆に言えば場所が良ければ売れるのだが、友人の場合、目一杯背伸びをしてもそういう物件が手に入れられなかったとも言えよう。

 本来ならば物件を買う段階で「売れる物件」であるかどうかを考えなければならないのだが、大半の人は買うことしか考えていないのだという話を不動産取引を行っている方から聞いたことがあるが事実なのだろう。少なくとも友人の場合は「考えていなかった」

 かくいう私も事業をするのにここまで変転していくとは夢にも思わなかったわけで、友人の不明をとやかくいうことはできない。ただ局面の打開は一筋縄ではいかない事だけはハッキリしている。

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おわりに

 友人は一通りの話が終わった後、こう言った。

「73だぞ。73までローンがあるんだぞ。これ、どうやって払うんだ?」

 絞り出すように言う友人に対し、「それを借りたの、君だから」などとはとてもではないが言えなかった。

 実は最初に書いた政府の「住宅ローン緩和策」は概ね歓迎されてはいた。しかし一方で当時、一部の専門家から「日本のサブプライム化」を危惧する声が上がっていたのであるが、その一端を私は目の前で見せつけられた気持ちになった。

 政府の施策については常時観察しているが、人に話すことなどほとんどなかった。ゆえに全く無意味なものと化しているのだが、友人の事情を事前に知っていれば、経緯事情を話すことで、少しは流れが変わったかもしれない。

 こうした流れについては「年金受給が40代は70、30代は75を視野に?」でも見受けられ、緩和策や改正、簡略化などといった「改革」なるものが、果たして是と言えるかについては疑問が残る。

 作用には必ず反作用がある。今回の場合、お金を借りやすくするという「規制緩和」によって、それまで家を買うことを諦めていた人々に夢を見させるという点で良いことのように見える反面、こんな暗黒面も存在するのだ。「規制」には人を守るという側面もあるわけである。

 人にとって「身の丈」ほど難しく、わかりづらいものはない。慎重になるばかりでは展望が開けぬし、突っ走れば思わぬ落とし穴が待っている。そうした中で平静均衡を保つためには、いかに自我を保ちつつ周囲の人々の話を聞くことができるかにかかっているのかもしれない。

 今回は大まかな流れを書いたが、この件については別途、補足詳細について書き足すこととする。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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