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家を買おうと思っていたが、できなかった人の話

投稿日:2017-08-11 更新日:

 世の中というもの、なかなか自分の思い通りにいかないもので、家を購入したいと思っていたのにも関わらず、購入できずに60代を迎えてしまったという人がいる。今回はそういう方の話である。

 この世代が社会に出た頃は1970年代のインフレ期で「貯めなきゃ損」「買わなきゃ損」と言われていた時代である。ところが色々あって家を買えず、また色々あったがために十分な貯蓄ができなかった。

 そして今は夫婦で公営住宅暮らし。奥様はそんな自分に対し、どこか引け目を感じて生きてきたという。そのことを聞いた私は言った。

 「家を買ったからといって、うまく行ってるとは限らない」

 その方は私がそう言っても、当初は半信半疑だった。慰め半分で言っていると思ったらしい。だが、年齢を重ね、色々なことを経験するにつれ、その言葉が半ば本当の話だということが理解できるようになったという。

夫婦の歩み

 このご夫婦は同世代で二人のお子さんがいるが、既に独立して巣立っている。公営住宅に入ったのはそのこどもたちが小さかったころで、以来30年、その家で暮らしている。

 奥様はマイホーム願望が強かったのだが、夫の方はといえばそういった発想が全くなく、「買えるのなら買ったらいい」程度にしか考えていなかったそうである。

 しかし夫の方はといえば故あって転職を繰り返したため、蓄えたりするどころか、日頃の暮らしさえも不安定な状態となることが度々起こった。そのため家を買うような機会も得られるまま月日だけが流れ、現在に至っている。

 「買えるのなら買ったらいい」

 言うは易しだが、夫にとって責任を伴う言葉ではなかったことが、転職の一要因になったことは否めないだろう。奥様はそれを「無責任」だと捉え、それが夫婦間のわだかまりの原因の一つとなっていたようだ。

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家族関係の転機

 私がこのご夫婦と知り合ったころ、夫の方にあるトラブルが発生し、その仲介を私が行なった。その過程で、このような経緯を知ることになったのである。

 幸いなことにトラブル自体は解決したのだが、家庭内の事情を知った私は夫に対し、トラブルが解決したことを口実として、ある約束を持ちかけた。それは「トラブルの一件を家族が不問にする代わり、黙って働き続けること」だった。

 実はこの夫という人物。気質は良く、仕事自体はよくできる人なのだが、対人関係に難があり、そのために職を点々としていた。このトラブルというのも対人関係のものだったが、幸いなことに仕事外だったため、仕事に精励できる可能性が残っていたのである。

 この話を夫は受けた。他人である私が仲介しているということへの気遣いもあったのだろう。以来、約束を果たすため転職もせず黙々と仕事をこなした。

 一方、家族の方にはこのトラブルに関して不問にするように求め、奥様の方にはこれを機に家計の見直しと貯蓄を勧めた。というのも、転職がなければ安定した収入が入ってくる訳で、こどもも巣立った今ならば貯めていくことも可能だと考えたのである。

 奥様は私の提案を受け入れて、コツコツと本格的な貯蓄を行っていくようになる。この時点でご夫婦とも50代後半であり、実質的に「60代から始める老後の備え」となった。

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夫婦の兄弟の境遇

 そのころ、収入が不安定だった奥様のご夫婦とは違い、家を購入し安定した暮らしを営んでいると見られていたご夫婦の兄弟が、実はそうではないということが徐々に明らかになっていく。

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夫の姉の家の話

 夫の姉夫婦は分譲マンションから、念願の一軒家を購入したのだが、購入間なしに旦那さんが倒れて入院。家にいることが少ないままなくなってしまう。

 またこの家の場所が山を切り開いた新興住宅地で、車がないと買い物もままならなず、運転免許がない夫の姉が暮らせるような環境になかった。そのため家を売り払い、娘と同居する選択を選んだのである。こうして持ち家は跡形もなく消え去った。

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奥様の姉の話

 奥様の姉夫婦は分譲マンションを購入しており、夫がリタイヤしていたものの、既にローンも完済していた。ところがこのマンション、管理組合が強くなく、修繕費用があまり積み上がっていなかった。

 そのため何か修繕を行おうとする度に都度出費しなければならないことから住民間で対立が発生し、修繕計画は滞る有様。当然ながらそのような物件に買い手はつきにくく、資産価値も目減りしてしまう。また交通の便は電車ではなく、バスであることも資産価値を減らす要因となっていた。

 「動きたくても動けない」

 完済した分譲物件に住みながらボヤく姉の姿を見て、「家を買ったからといって、うまく行ってるとは限らない」という私の言葉を思い出したそうである。

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夫の退職

 老いていく親族の悩みを見るにつけ、家を持っていない事への引け目が少なくなっていった奥様だったが、家を持たなくてもよいと思えるような出来事が発生する。夫の退職である。

 夫はトラブルの一件以来、私との約束を守り、黙々と働き続けていた。ところが年齢的、体力的な限界を感じ、会社の方に退職を申し出たのである。そういう事情で夫は働いていた職場から退職することになった。

 この件で相談を受けた私は、会社側と交渉し「会社事由による解雇」という形を求めた。60代後半という夫の年齢やこれまでの働きを考慮すべし、という論法を用い相手側はこれに応じた。

 私がこの「会社事由」にこだわったのは、解雇と退職では様々な手続きで全く違う対応となるからである。会社側より「解雇通知書」より受け取った奥様に公営住宅の減免手続きを行うように伝え、結果、家賃の減額措置が行われた。

 これが仮に持ち家でローンを抱えている状態ならば、会社を解雇されたからといってローンが減額されることはない。公営住宅に住んでいたことによって、手厚い失業支援を受けられたのである。皮肉なことに「持たなかった」からこそ受けられた支援であった。

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おわりに

 人の人生や選択というもの、何が正しくて何が間違っているのかを判断するのは非常に難しい。今回のご夫婦の場合、夫が言うように「買えるのなら買ったらいい」をそのまま信じてマイホームを買ってしまっていたら、破綻の憂き目を見ていたかもしれない。

 一方、家を買ったから大丈夫とか、ローンを完済したから安心というわけではないことはこのご夫婦の親族の話を見ても明らかであり、将来を見据えて家を買うかどうかの判断が容易なものではないことを実感させられる。

 このように書けばまるで「家を買うのはやめておいたほうがいい」と言っているようだがそうではなく、収入をはじめ職場や家庭環境など様々な事を考え、その上で総合的な判断が必要ではないかと感じるからで、一生に一度とも言われるような大きな買い物なのだから熟慮を重ね、実体験や感想を含めた情報を集めてよいと思うのだ。

 その点、こうした「買えなかった人」の話を含め、大いに参考にすべきだろう。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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