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一般的なクリーニング業者のYシャツ洗い

投稿日:2017-06-08 更新日:

 自社の「Yシャツ洗い」を二回に分けて完全公開したが、今回はクリーニング業者のYシャツ洗いはどうなのかについて、知りうる限りのことを工程順に書いていきたい。

前処理

 洗浄前に汚れている箇所に洗剤などを塗布したりする作業を「前処理」という。当方は基本前処理しない主義だが、多くの業者は前処理を行っている。いわゆる「格安店」を除けば、基本何らかの前処理を行っていると見ていいだろう。

 具体的に何を塗っているかというと、襟落とし洗剤や遅効性の液体酵素といったもで、店頭で預かったり工場入荷時に襟や袖口に塗っておく。一晩つけておくことで、塗ったものが汚れにはんのうして取れやすくなる、という寸法である。中には前処理洗剤を処理した分、洗浄時の洗剤を落として洗う業者もいた。

 多くの業者は基本、ここに手をかけていると見てもらっていいと思う。むしろ私のように「ノー前処理」にこだわる人間のほうが珍しい。

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洗浄

 本格的に洗う前に水だけで洗い流す「予洗」工程を使っている業者は年々減少傾向にある。事前に水だけで洗うことで荒い汚れを流し、繊維を水になじませる意味を持つ工程だが、必要性を感じないという業者は意外なほど多い。

 洗剤を入れた本洗の方については、温度は40℃から70℃、洗浄時間は15分~40分と、業者によってマチマチである。温度が上がれば上がるほど汚れ落としの力は増すが、色飛びや縮み、シワのリスクは高まる。また洗浄時間が伸びれば汚れは取れるものの、静電気がより発生する。ここをどう考えるのかは洗う人の感覚となる。

 洗剤は家庭と同じく粉末のワンショット洗剤を使うケースが過半で、粉石鹸+アルカリ剤のところは少なくなったように思う。また過炭酸ナトリウムや過酸化水素水、あるいは油性落としの液体洗剤を助剤として投入する例は少なからずある。入れるのは時間同様洗う人の感覚である。

 そのため「どこで洗っても一緒」どころか「どこで洗っても違う」上がりとなってしまうわけで、それがクリーニング業の仕事である。

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すすぎ

 大体、高水位の二回すすぎである。たまに3回すすぎでクエン酸投入や、1回すすぎの業者がいる。しかしそれはやはり少数派で、二回すすぎが最大勢力だ。すすぎ時間は1回三分が多い。

 1回すすぎに関しては資材メーカーからのアドバイスを受け、実際に取り組む例が殆どで、自発的に行ったという話はあまり聞かない。そしてそういう場合、後に何故か2回すすぎに戻っているのだ。

 これは「やはり不安」とか「洗剤が抜けてなさそう」といった心理的要因から来ていることが多い。一時はコスト的な配慮に向かっても、やはり不安になるものと思われる。自発的、能動的な取り組みがない場合、主体性が欠け、定位置に戻ってしまう事がままある訳で、このすすぎの話などは顕著な例である。

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天然糊と合成糊

 糊については各業者でけっこう振れているところがある。というのも安い天然糊VS高い合成糊といった単純な構造ではなく、投入の容易な合成糊に対し、それに比べて面倒な天然糊とか、糊立ちのよいのは天然糊で、糊が立ちにくいのは合成糊とか、色々悩ましい話が多いのが、この糊の話だ。

 投入に設備が必要な天然糊(コーンスターチ)に対し、要らない合成糊といった点などもあり、話自体一筋縄にはいかない。また天然糊は合成糊に比べ湿気を吸いやすく、湿度が多い時期には仕上げた側からベタっとなったりしがちなので、季節によって合成糊にしたり、あるいは天然糊に合成糊を混ぜたりして対処している業者がある。

 「天然だから安心」的なアピールが散見されるが、純粋に肌当たりに関して言えばコーンスターチよりも合成糊に分があったりするわけで、糊の評価については一般の人々にはなかなか判りにくい部分だろう。

 その点でコーンスターチより高いが肌当たりのよい天然糊のタピオカスターチを使う業者が増える傾向がある。当方ではタピオカをベースとした半天然糊に水溶性ポリマー樹脂(合成糊の一種)を少量入れ、それに綿麻仕上剤を加えている。

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まとめ

 このようにどのクリーニング業者も別に隠している訳ではないのだが、見せるまでもない、というか「見せる」そういう発想もないのが「洗いのプロセス」である。

 当方の場合、他の業者より受ける外圧が大きく、またなにかトラブルが発生した時点で洗いを変えてきたために変遷が激しくなった。安定しないと言えばそうなのだが、反面で変化に即応できたため、現在のようなYシャツ洗いとなったともいえる。この変遷の歴史に関してはまた別の機会に書きたい。

 ちなみに今回の洗いプロセスの公開は当方の洗いを自慢したり、あるいは他店との差をアピールして集客することを意図したものではなく、まして情報公開の流れを作ろうなどという意図は全く無い。

 ただ、こうした洗いを工夫次第で「家庭でも可能」であることを示したかったことにある。これをヒントとして家庭洗濯のレベルが向上すれば、洗濯への汚れ落ちへの不満や、肌荒れ等の問題を抱える方の悩みを少しは解消できるのではないかと思う。

 また同業者がこれを見て自社の洗いを改良するならば、利用されるお客様にメリットがあり、業格の向上に寄与する訳だから、結局は回って自分のところに帰ってくる。

 「良い洗い」を心がければあらゆる労力は最小限度に収まり、高効率な動きとなるわけで、そこに立ち返ってものを考えるようになれば、自ずと動きも変わってくるだろう。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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