クリーニング実践編 クリーニング技術 最新情報

一泊二日でベッタリついたマジックインクを取る

投稿日:2017-06-24 更新日:

 いきなりだが、こんな作業服が出てきた。

 マジックインキがベッタリついた作業服。何らかの事情で太字のマジックペンが折れてドバッと出たのであろう。慌てて洗うも取れるわけもなく、とりあえず洗濯屋に出してみよう。そんな感じなのだろう。

 しかし広範囲に、しかも大量についたインキがそう簡単に取れるわけがない。おまけにインキがついた服を洗っているとなれば余計に対処が難しくなるのだ。なぜなら取れにくくなるからである。

 しかし出たものは仕方がない。お金は貰えないが限られた時間でどこまでインキが取れるのかをお見せしましょう。

インキを洗うと取れにくくなる訳

 このようにインクがついた状態で、洗ったり、すすいだり、石鹸で揉んだりしたら「いけません!」 取れるものも取れなくなります。

 なぜならそういう手立ては付いたインキを繊維の奥へ「押し込む」行為だからで、それでなくても油性で家庭では取れにくいインキを自ら取れないようにしている事になるのである。

 全ての汚れがそうというわけではないが、基本「揉んだり」「擦ったり」することは、付着した汚れを繊維の奥に追いやることになり、場合によっては取れる汚れを「取れないシミ」にしてしまうことになりかねない。

 だからこそ「汚れは洗いで取る」ことを基本にしなければいけない。

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インキは溶かして取る

 ではどうやって服にベッタリついたインキを取るのか。それは油性落と剤でインキを融解させ続け、それで取るのである。

油性落とし剤

 まずはこの油性落とし剤をインキが付いている部位全てに塗るのだ。

 洗ったときなのか、どうなのか不明だが袖部分にもあちこち付着していたので油性落とし剤を塗る。塗れば放置する。そして一時間後・・・

インキが流れ出しているのがわかる

 このようにインキが早速、融解しだした。しかしこれはまだ戦いの序章に過ぎなかった。

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油性落としを重ね塗り

 時間を置いて流れ出しているインキは付着しているものの一部にしか過ぎない。そのため部位に2時間おきに油性落とし剤を塗って、インクを融解させ続けるのである。

二回目の塗布が終了したあと

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バキュームでインキを吸引

 三回目の塗布終了後、どれほどのインキが融解したのか。一つ実験を行うことにした。シミ抜き機のバキューム部分にティッシュを敷き、その上に作業服のポケット部分を吸引してみる。

シミ抜き機の上に引いたティッシュ

ポケットを吸引した作業服

ティッシュに移ったインキの成分

 このようにインキが融解しているのが分かるだろう。同時に汚れを吸い出す吸引力の力は強力である。

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それでもまだ塗り続ける

 四回目の塗布。赤みがかった色が黄色がかったのは、融解によって抜けやすい色が抜けたため。実は黄色が一番強力な色である。この日は4回目の塗布でタイムオーバーとなった。

 納期の加減で朝二番の洗いに入れなければならないが、それまで、塗布作業は続ける。

翌日の朝一番。インキは更に融解している

 インキの流れ具合を確認し、もう一度塗布を行う。計五回塗った後、いよいよ洗いに入れる。

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結果はいかに

 洗浄後、取りだした作業服はこのようになった。

 ほぼ取れたが、胸ポケットの下の真ん中辺りが残っている。ここにマジックがさされていた状態で爆発してしまったのだろう。事前に洗っていなければ、おそらく取れていただろう。

 また一泊二日ではなく、二泊三日でも取れきった可能性は高い。いずれにせよ、揉まず、擦らずに粘り強く融解させていけば、多くの場合、相当程度取れるのである。

 しかし今回は実験検証のため、ここまでやっても料金は発生しない。が、本来ならば、この料金3000円くらいは頂かなければいけないのだろう。しかしその場合、どれだけの人が出すのだろうか・・・・・

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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