クリーニング実践編 最新情報

ピンクの綿のニットの移染した色を取る

投稿日:2017-07-14 更新日:

 作業終了間近、ピンクの綿ニットを仕上げしていたらなにかおかしい。まだらに薄く青い色がついていたのである。

まだらに青色が薄っすらついている

 これは・・・・・ このピンクの綿ニットは水洗で「黒物」と一緒に洗った。念のためにネットに入れて洗ったのだが、その際に他の服の色が出て付着したのかもしれない。暑くなって水温が上がって色が出た可能性もある。

 出荷まであと30分。どうするか迷ったが、「色抜き」する決断をした。

「色抜き」作業

 色抜きは洗って取れることもある。また漂白系を用いるケースも多い。しかし漂白系にはリスクが付きまとう。塩素系など一度決めて決まらなかったら他の処方がないからである。怖くてとても使えない。

 ハイドロサルファイトという還元系漂白剤の使い手が少なからずいるが、私はニオイがイマイチ慣れず、あまり使ってはいない。そこで私が使っているのは移染除去剤と移染防止剤の組み合わせ。これは除去剤で色を抜いて、防止剤で再付着を防ぐもので、60℃くらいの湯を使い、2つの材料を同時に入れて色を抜く。

 今回、時間がなかったので作った液の写真はないが、液を作った後、衣料を浸け込んだ写真はある。

これは何かの料理ではありません

 真っ赤っ赤に色が出た。多分、この服自体に色止めがなされていない。おそらくコストを落とすためだと思われる。困ったものである。

 色が出ると、それとともに色染独特のニオイも出てくる。これは色素が繊維中に留まっていればさしてニオイがしないのだが、このように色素が繊維外に出てしまうと、途端に暴れだしてニオイを発するのである。これも知られざる実態とても言おうか・・・

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ニオイ止めと色素回復加工

 この色素独特のニオイは「抗菌剤」を用いて封鎖する。色止めに使う酢酸という手もあるのだが、酢酸を使うと今度は酢酸を飛ばす作業がいる。そのため出庫までに時間がなく、抗菌剤を投入して前すすぎして絞る。このとき、先に絞らずにすすぎながら抗菌剤を入れる。温度を下げて絞るためだ。

 これで一定のニオイが取れるので、その後すすぎを兼ねた加工を行う。色が流れているので、当然ながら一定量褪せるのは当然。これを繊維に残った色素を使って「冴えさせる」ように見せる資材がある。「色素回復剤」だ。

 この「色素回復剤」、黒や紺といった濃色のものに「色止め剤」と組み合わせて使うことにより洗いでの褪色を抑えつつ、光の反射を利用して「深光り」させ、色が冴えたように見せる資材である。

 ドライ用の「色素回復剤」も何種類かあるが仕組みは微妙に異なる。ドライでは「パーク用」の色素回復剤が最強で、スーツが文字通り黒光りする。これは溶液の特性による。またエアゾールタイプのものも複数存在するが、全て「色」を添加するのではなく、光の反射を変えることによって「ぼかす」ものだ。

乾燥と仕上げ

 このようにして「高速乾燥剤」と「色素回復剤」で加工し、絞った後にYシャツ仕上げ機で立体乾燥させる。こうすることで約5分程度で7割乾かしができる。

ご覧のように色は取れた

 このあとハンガー吊りをし、スチームボックスで乾かした後、アイロンで仕上げて出荷し事なきをえた。こういう緊急事態に対応するためには、奥の手、奥の奥の手は持っておかなければならない。だからこそ、普段から高額資材を取り揃えるだけ、揃えておかなければならないのである。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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