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タワーマンションが買いたいという「マイホーム信仰」

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 マイホームを購入するもその後の住宅ローンの支払いに苦しむ友人の話を「家を買ったが苦しいので売りに出している人の話」と「家を買ったが苦しいので・・・の続きの話」で書いたのだが、それと酷似した話を産経新聞の総合経済情報サイト「SankeiBiz」が掲載していた。

「買ったほうが得」は危険 7500万円のタワマンを買う共働き夫婦の末路

 という刺激的なタイトルをつけてのものだが、内容はタイトルとは異なり、夫婦で1000万円以上の収入があり、同様の額の貯蓄があり、キチンと情報を集めた上で、購入に踏み切ったという「末路」が描かれている記事だ。

 収入面、計画性、あらゆる部分を見ても問題がないように見える共働き夫婦のマイホーム購入。しかし書き手はその動機などについて懐疑的に捉えている。しかしどうして懐疑的であるのかまでは踏み込んだ表現はしていない。

 これはおそらく筆者が不動産関係の事業をしている手前、そこまでは踏み込めなかったのだろう。しっかりしているように見えるこの共働き夫婦のなにが問題で、どうして懐疑的なのかについて考えていきたい。

どうしてそこまで懐疑的なのか?

 筆者の牧野知弘氏は銀行に入行後、コンサル業や不動産事業に移り、独立して複数の会社を立ち上げ、不動産アドバイザーなどの仕事を行う傍ら、多くの不動産関係の著作を行っている人物のようである。

 その本のタイトルの中で目を引いたのは「空き家問題 ――1000万戸の衝撃」で、急速な少子高齢化に向かっている日本で大量に発生するであろう「空き家」の問題について書いている。つまり、この視点からの「危惧」だと考えてよいと思う。

 というのも「空き家」が増えるというのは買い手市場であり、必要がなければ買ってもらえない状況なのである。その空き家が大量に発生するということは「タダでも要らない」とされる物件が大量に発生するということなのである。

「湾岸部のこの場所は、2020年の東京オリンピック以降も発展すると聞きました。欲しい人が増えて人気のエリアになれば、途中で物件を売って儲かるかもしれないじゃないですか。ま、それもありかなと思っているんです」

本文中の夫の証言

 おそらくこの見立てに懐疑的なのだ。筆者は物件を知っている。そしてその物件がそうならない(思った額で売れない)と見ているのだろう。超買い手市場の中では、どうしても欲しい物件でなければ誰も手を出さず、その価値は下落する一方となる。つまり買う物件は「どうしても欲しい物件」ではないのだ。

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不動産の価値というもの

建物にしか価値がない「タワマン」を買って、本当に大丈夫なのか。

記事の出だしの紹介文

 最近人気のタワーマンションは敷地のほとんどが建物で、高層建築によって多くの戸数を抱えているため、一戸あたりの土地の価値が少ない。よってその価値の過半が建物となるわけだが、建造物は時が経つうちに劣化するため、価値がなくなっていく。そのことを指摘しているのである。

 よって不動産の価値というものは基本「土地」にあるといっていい。土地こそが不変の価値があるのである。資産として考える、あるいは運用を考えるのであれば非常に重要な意味を持つ。しかしそれが乏しいタワマンでいいのかという疑問なのだろう。

 だが土地の価値が少ないからといってそれだけを見て不安視するのはあまりにも短絡的だ。そういう物件であろうとも欲しがる人が多ければ、その価値が上がるからである。では人が欲しがる物件とはいったいどういうものなのか?

 それは「安全、安心、便利」を兼ね備えた物件だろう。つまり土地そのもの以外にも、人が欲しがる物件が存在するのである。具体的に言えば「免震構造」「セキュリティー」「生活関連施設の全てが近い」である。人が求めているものは昔から不変なのだ。

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海辺の物件

「東京湾岸部のタワーマンション(タワマン)を購入したい」

本文より夫婦の希望

 東京に限らない話だが、湾岸部の土地は基本「埋立地」である。一口に埋立地といっても色々あるが、元々は海であったため軟弱な地盤であることには変わりがない。

 そのため、こういった土地に高層の建物を立てる場合には深く杭打ちを行い、建物が傾かないような施工を行っている。そのため、地震などがあっても建物自体がダメージを受けるということは少ないと考えていいだろう。

 ところが、建物自体は問題がなくても周辺部はそうはいかない。「液状化」が発生するのである。水気を帯びた土砂が噴出し、あちこちに隆起や陥没が起こり、道路をはじめとするインフラが打撃をうけるのだ。

 こうした液状化は江戸時代に埋め立てられた場所よりも明治時代以降に埋め立てられた場所で起こる確率が高い。これは埋め立てた地盤が落ち着くのに150年以上かかることによるもので、湾岸部の物件を購入する際には、いつの時代に埋められた土地なのかを把握した上で購入すべきだろう。

 なぜなら「資産」として捉えて購入した場合、こういったことはリスクとなるからで、そうしたものを承知しておかなければ、とんだ計算違いになりかねない。

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家を買う理由

 

 「長期間で住宅ローンを組める今のうちに買っておかないと、このままずっと賃貸というのも不安なんです」

 「もし住宅ローンを組むのなら、若いうちからのほうが、返済は結果的に楽だと思ったんです」

本文より妻の意見

 実はこれ、私の友人と同じような事を言っているのである。

 「長期間ローンが組める今のうち」

 まるで呪文にでもかかったように異口同音に唱えられるその言葉。実は家を買う動機は物件そのものにあるのではなく「長期間ローン」にあったのだ。

 しかも世の中のあらゆる情報をネットで収集し、瞬時に取り入れて利用する彼らですらも同じ「マイホーム信仰」の象徴的な呪文を唱える有様に驚きを禁じ得ない筆者であった。

  牧野氏はこの「マイホーム信仰」の危険性を訴えるべく『マイホーム価値革命』を執筆したという。何のために家を買うのか、という動機がいつの間にか「長期間ローンのため」に置き換わっている30代夫婦に対する強い危惧があるのだろう。

 インフレ、終身雇用という時代に育まれた「マイホーム信仰」は、「ゼロ成長」という今の時代にはそもまま当てはめる訳にはいかない発想だと言える。

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おわりに

 「家賃を払うのはもったいないから、家は買ったほうが得」。

 そんな理屈でマイホームを購入してしまうことは、非常に危険なのです。

本文末の筆者の意見

 一般的にその発想から入る考え方を牧野氏は「危険」だという。家を持つということは、その物件に責任を持つということであり、責任を持つということは維持にかかる一切合切の費用やリスクを負うということでもある。

 つまり「住宅ローン」という払いの部分「だけ」に目をやり、物事を判断することは、結果的に視野を狭くさせ、結果として自身を危地に追いやりかねない行為なのである。

 第一「終身雇用」が崩れた今の時代において35年の長期ローンというのは、それ自体が家族にとって大きなリスクになりうる。筆者の経歴を見ると終身雇用が色濃かった1980年代で既に数度の転職を重ねており、時代の変化を肌で感じる立場であったことから、未来に対し疑問を持たず楽観視する姿勢に疑問を感じたのだろう。

 また「家賃を払うのはもったいないから、家は買ったほうが得」という発想の問題点について、何故問題なのかをより深く掘り下げ考えていく必要があるのではないかと思う。今後も機会を見つけ、この点について書いていきたい。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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