クリーニング技術 家庭でスーツが洗える「スイトル洗い」 新しい家庭の洗濯についての研究 最新情報

スイトルでスーツを洗う日が来るか?

投稿日:2017-05-20 更新日:

 これまで、ハイブリッドウェットクリーナーと家庭用湿式掃除機「スイトル」について、これまで4つの記事を書いてきた。

ハイブリッドとswitle「スイトル」は技術の異母兄弟

漬け込み洗いを過去のものにするハイブリッド洗浄

新洗濯表示基準をクリアするハイブリッド洗浄

家庭用湿式掃除機switle「スイトル」の実力

 これはある目的、ある意識をもって書いている。つまり

「スイトルを使って家庭内でハイブリッド洗浄を行えるか?」

である。この狙いがもしも可能、あるいは実現したとするならば、家庭洗濯最大のネックである「仕上げ設備」不足も解消できる。というのもハイブリッド方式は回さない絞らない縮まないという静止洗いの洗濯技法のため、ヨレやシワになりにくく、仕上げはドライ処理並みかそれ以上に楽なのだ。

 仕上剤を洗浄液に入れることで洗いながら仕上げを行ったようになり、干して仕上治具をセットすれば、正直ほとんど仕上げしなくてもよくなる。細かい部分にスチームをかければクリーニング店の仕上げと全く遜色のないあがりが可能になる。

 つまり家庭洗濯がこれまでのような漬け込み主体のドライマーク洗浄法から、スイトルを介して本格的なクリーニング洗いと仕上げに転化する可能性があるのだ。

 これは手前味噌だが、評論家やアドバイザーが書いているのではなく、現役のクリーニング屋である私が指摘している点に注目して欲しい。実際に現在も現場で仕事をしているものが言っているというこの意味。もしスイトルが家庭用ウェットクリーナーとして使えるなら、クリーニング業界に与える衝撃は相当に大きいものになるはずだ。

 ではスイトルで洗えるとして、どのような工程や道具が考えられるのかをこれまでの経験からスーツ上着を洗うことを想像して書いてみることにする。

スイトル洗いの工程

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前処理工程

 先ずは汚れを浮かせるための前処理工程が必要である。前処理とは被洗物についている汚れの事前処理で、界面活性剤(すなわち洗剤)を薄めたものが使われている。スイトルの場合、ハイブリッドクリーナーと違い、自律的な洗浄液の噴出であるため、速やかにすすげるようハイブリッドクリーナーで使われるものよりも濃度を薄めて使う必要がある。

 処理液の濃度は0.1%程度で、水への反応を最小限にするために精製水を使い、水による縮みを防止するため繊維のコーティング剤として動物性繊維仕上剤を少量チャージする必要がある。

 ハイブリッドクリーナーでは前処理後、付属のスプレーで服に水を噴射して被洗物を水でなじませるが、家庭でのスイトルの場合、そういったスプレーはないので、前処理剤でその役目を負わせる形がいいだろう。そのため処理液の濃度は低く抑えなければならない。

 上着の重点処理箇所は伝統芸的に決まっている。襟裏、袖裏、前立、両前ポケット。上着の汚れの殆どはこの位置に集中している。

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洗浄工程

 スイトルの洗浄液は水道水に動物性繊維仕上剤、サイジング剤、抗菌剤、帯電防止剤を混ぜて作るのが適当だろう。ハイブリッド洗浄は前処理が「洗い」、洗浄が「すすぎと加工」である。

 ハイブリッドクリーナーと違い、吸い込みのある作業台などないので、タオルケット上に何らかのネットを敷き、その上に被洗物を置き、動かないようにまたネットを上にかけて何かで固定して洗浄を始める。

 洗浄液の噴出を抑えるため、液を噴出するときにはモーターを弱め、乾かすときの吸引時にモーターを強める必要があるのではないかと思う。このようにして被洗物の全箇所を洗浄する。

 襟と前立については裏表をしっかりおこなわなければならない。袖裏と袖先、ポケットのラペル部分はめくったりしてやっておく必要がある。いつも汚れているのはこの辺りだからだ。

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終了

 実は洗浄工程がすすぎと仕上げになっているので、丁寧に吸い込みを行えば、ここで洗濯仕上の9割の仕事が終わったことになる。洗即仕上なわけだ。これならば漬け込み洗いのような型崩れを起こすこともないのである。

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まとめ

 このようにもしスイトルがハイブリッドクリーナーと同様な処理工程が行えるのであれば、資材と運用手順、素材の見極めで、ここに書いたことが家庭で全て可能になる。

 家庭洗濯最大のネックである「貧弱な洗濯設備」をスイトルが圧倒的安価(ハイブリッドの50分の1)で乗り越えるとなると、洗濯関連業界へのインパクトは想像もできる。

 だが問題は本当にその運用ができるのか。実機検証が待たれるのである。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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