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クリーニングのネット保管サービス論評

投稿日:2017-05-14 更新日:

 多くの方々が気になっているサービスだと思いますが、現役業者として書きにくい話を含め、批判を覚悟で出来得る限り直入に書くことにする。

クリーニング保管サービス

 クリーニング需要が低迷する中、家庭需要の掘り起こしを狙い、小規模店で古くからあった常連さんへの預かりサービスをシステム化したものである。最初の形態はチラシを撒いて問い合わせのあったお客様に段ボールを渡し詰めてもらう方式だったが、インターネット環境が整備される中、チラシがネットに置き換わり「クリーニングネット保管サービス」となった。

 本格的にこの分野での取り組みを行なったのは千葉県の喜久屋クリーニング(e-クローゼット)だったと記憶している。喜久屋クリーニングではそれ以前から店舗受付による保管サービスをおこなっており、その流れでの取り組みだったのであろう。もっとも私個人の感覚から見て、全国の一般客向けというより、同業へのシステム売りがメインなのではと見ていた。

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実際の業者の仕事内容

 当方も実は保管サービスを15年前から行なっており、店舗や外交で受け付けていた。まずこの実例を書いたほうが良いだろう。「クリーニング保管サービス」は需要減への対応策だったが、ネックだったのは「安ければ出す」という方向性の顧客が多かったことである。

 というのもこの「保管サービス」。クリーニングの繁忙期である3月から7月に洗わず、閑散期の時期に仕事をさせて頂きますとの名分でサービスを行っているものだから、保管用バックや防虫剤、空調設備等の資材維持費用がかかっているにも関わらず「安く」受けなければ、家庭から多くの点数と顧客数が確保できない問題が起こった。

 それを巡って当方では営業サイドと生産サイドが対立した。営業側は「繁忙期対策で仕事が平準化できる」と主張。生産側は「暑く湿気の多い夏にお金をかけてわざわざ安い仕事を行なうのは非効率で品質が落ちる」と訴えた。結局、割引率を抑えて保管サービスを行なうこととなったので、サービスを利用する顧客は当初より少なくなってしまった。

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ネット保管サービスに関して業界内で回っている話

 「一点150円で受けないか」

 「100円位になるかもしれない」

 安いが仕事がないよりマシだろう、といったニュアンスで話が回ってきたことがあった。同業者からの誘いである。クリーニングの仕事を衣服一点その金額で、との話だった。電話で元(受付業者)はどこ?という話を聞いたのだが、ボカされたのでその場で断った。元を教える事はできなかったのだろう。

 要はこういうことなのだ。仮に元請けがお客様から500円で受けたとするなら、半値でクリーニング業者に下ろす。それを実際に仕事する業者に150円で投げる。お客様は500円「も」出したのだが、業者は150円「しか」貰えない。

 500円分のサービスを受けるはずが150円分だったというオチである。

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変化する社会の中で

 上の話がどの業者の話なのか、私は知らないし分からない。ただ薄い付き合いの中で色々な「風のうわさ」を耳にする一つである。例えば○✕を継いだ人がコンサルタントかなにかに誘われてネット宅配サービスの下請けの為に工場作ったとか、どこそこの会社が受けたけど合わないから撤退したとか、「えげつないから受けるなよ」と注意されたとか、その程度の話は入ってくるレベルのネットワークの中での話だ。

 結局のところ信じる信じぬはネットサービスを利用される各人に任せるしかない訳で、私などが口を挟む余地などないが「送料無料で何点まで何円」というものを「(何円ー往復代送料ーカード手数料)÷点数」=一点価格と見立て、その料金がまともに仕事をするだろう業者の価格より上か下を見て考えてもよいと思う。

 業者的に一つだけ突っ込んだ話を書くと、ドライクリーニングに投入するソープ(洗浄力を高め静電気を防止し、仕上がりを良くする資材)。一斗缶1万円未満のものもあれば、助剤含め計5万から10万のものもあるが、どちらが品質が良いのか、安く受けたらどちらのものを使うのか、想像してもいいと思うんですよ。それは利用する側の半ば責務でしょうから。

 クリーニング業は基本マニファクチュア(工場制手工業)。だから品質とは手間+資材+機械。点数多く集めればコストが下がる訳ではないという体質である点は踏まえてほしいところである。

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現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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