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クリーニングの「Yシャツ洗い」を完全公開 1

投稿日:2017-06-06 更新日:

 度々洗って汚れを取るエントリーを書いているが、その再登場する「Yシャツ洗い」という洗い。

ブラウスについたファンデーションを普通に洗って取る

汚れきったホワイトジーンズをYシャツ洗いに入れてみる

デザインシャツについたシミを洗いだけで取る

 エントリーを見れば強力そうなのはわかるけど、一体どういう洗いなのかは判りにくいと思われる。そこで今回は工程と洗剤量を含め、当方の「Yシャツ洗い」の全容を二回に分けて公開する。

 ただこれは当方の洗い方であって、他の業者の方の洗いとは大きく異なる点を最初に申し上げたい。

Yシャツ洗いとは何か?

 当方の水洗では2番目に強い洗いで「ランドリー」に区別される洗いである。ランドリーとは液相をアルカリ性として高温で洗浄する洗いを指す。

 そのランドリーの中でもYシャツをはじめ、白衣やシーツ等、俗言う「白物」を洗うプログラムで、昔は「炊きこみ」といって本当に鍋みたいなところでグッダグッダと似ていたらしい。

 現在では完全な白のYシャツは少なくなり、色柄がついたものが過半となってしまったため、ただ強力なアルカリにするのでは色が飛んだりしてトラブルになってしまうので、色柄を飛ばさず、かつ洗浄力を強化しなければならなくなった。

 昔は粉石鹸(界面活性剤)、メタケイ酸ソーダ(アルカリ剤)、過炭酸ナトリウム(漂白剤)をつかって60℃から80℃で洗っていたらしいが、今は服の多様化により、それだけでは対処できなくなっている。

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Yシャツ洗いの前段階準備

 当方の水洗機は30kg機で、一般的な家庭の洗濯機の6倍から8倍程度の大きさと考えてもらっていい。早速洗いの段取りと追いながら資材を紹介する。

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洗剤

 まずアルカリ性粉末洗剤を100gドラムに投入する。このアルカリ性洗剤は過炭酸をベースにリモネンや酵素、蛍光増白剤が入っている。

 当方では洗剤は洗浄剤である以上に色々なものを加えるための「ベース剤」の役割を果たしている。

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粉末酵素

 昔は多くのクリーニング業者で使われていたようだが、近年では液体酵素を使うのが主流となってしまったという酵素。蛋白質、でんぷん質、油脂の三種類の分解酵素をブレンドしたもの。

 顆粒状となっており、カプセルの中に酵素が閉じ込められた形となっており、起きるのに時間がかかって投入後10分程度経ってから効き始める。そのためより即効性のある液体酵素が広く使われるようになった。

 この酵素を20gほど入れる。酵素の洗剤総量の中での割合は家庭洗剤の10倍以上となり、この部分が汚れ落としの決定的な差となっている部分の一つである。つまり酵素を入れれば落ちが良いのは判っているが、高額資材で配合は少量に抑えられているのが現状なのだということだ。

 粉末家庭洗剤の一杯の三分に二程度の投入量は比率としても圧倒的だと思われる。そもそも家庭用粉末洗剤から見れば配合がおかしすぎるし、同じ配合にしようとおもえば値が倍どころではすまないだろう。

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洗剤のドラム投入

 粉末洗剤と粉末酵素をそれぞれドラムに投入する。

 投入後、お湯を入れて撹拌する。

 本来の洗浄方法はまず水を投入して服になじませて、荒い汚れを溶け込ませてから(予洗という)温度を上げて洗剤を投入する(本洗という)のだが、そのセオリーを無視し、先に洗剤を入れて湯で撹拌し、洗浄液を作っている。

 軟水の湯と洗浄液で、素早く被洗物に水を浸透させる方が効率が良いとの判断からである。

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本洗開始

 洗剤の撹拌が終わると、被洗物を投入する。最高でYシャツ120枚程度を投入できるが、毎日仕事の必要な量で洗っている。

 終わると蓋を閉めて洗いをスタートさせる。

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リモネン洗剤

 洗いが始まるとリモネン系液体洗剤を50cc投入する。

 この洗剤は中性で、プラスチックを溶かすほどの力を持つリモネンの強力なパワーで被洗物の油脂を落とすために投入する。

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液体漂白剤

 次に酸素系液体漂白剤を100cc投入する。

 これは普通の過酸化水素水ではなく、濃度を落としたもので安定剤が入っている。濃度が高く、安定剤が入っていないと色が飛ぶ品物があるため、わざと力を落としているのである。また、この材料の投入方法は特別である。

 洗浄をスタートさせた後、洗いが安定し(一定水量が入って被洗物に水が浸透した状態)、かつ温度が40℃以上の状態になっているのを確認してから投入しなければならない。

 というのも過酸化水素水は反応は早いが終わるのも早いので、きっちり効かせるため、温度がかかった状態で投入し、資材の力を最大限引き出すようにする。少ない資材で効率的な洗いを行うためには、知恵と手間が必要である。

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お湯について

 当方の設備ではボイラーの排熱を利用した「温水タンク」を設置している。熱交換よってお湯を沸かしているのだが、機械の使用状況によって温度はマチマチなので、常に温度を見て判断しているのだ。

 またこの温水タンクは「湯気防止」とボイラーへの直接投入による燃費削減を兼ね備えており、更に排熱ドレンを冷やして液体化させて、再びボイラー水に使うという重要な機能も持ち合わせている。水を温水にし、機器が最初から温水状態で使うならば、燃費は削減される。

 そしてこの温水タンクに入る水だけが「軟水化」されており、必要な軟水を最小限に使うように組んでいる。これによって設備と維持コストを抑制している。20年の試行錯誤で、総合的に判断してそのような形となった。

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おわりに

 今回はYシャツ洗いの準備から洗いの初動までを見たが、次回は洗いが終わる段階からすすぎへ、さらに洗いが終わるところまでと効果を実例を上げて公開する。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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