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クエン酸をベースとして一発洗いを行う方法

投稿日:2017-06-02 更新日:

 「クエン酸」 レモンなどに多く含まれるこの物質は最近、あちこちで名前をみる機会が増えている。食べ物はもちろんのこと、掃除資材などとして広く使われている。

クエン酸。クリーニングでも使われている。

クリーニングでも使われるクエン酸

 実はクリーニング業を営む当方でもクエン酸は常用しており、25kg袋で仕入れている。全水洗で投入しており、大体二ヶ月程度でなくなるペースである。

 クリーニング業で使われる用途としては「中和」が一番多い。染み抜きでアルカリ処理したあとの中和処理にクエン酸水溶液を使って中和するのである。

 あとクーリングタワーやチラーといった冷却設備への投入。こちらは内部で循環している冷却水のスケール(汚れ)除去のためで、循環により痛みやすい水の中での雑菌の繁殖を抑えるためだ。

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洗浄用途としてのクエン酸

 当方にとってクエン酸は絶対に手を離すことが出来ない資材の一つである。というのもクエン酸を含めた洗浄システムを確立しているからで、現在6種類ある水洗洗浄プログラムの全てがクエン酸絡みだからだ。一体どういうことなのか?

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全水洗一回すすぎ化

 実は軟水を使って洗浄力を維持したまま洗剤の減量化(一般業者の3分の1以下の使用量)に成功したことによって、すすぎが一回で終わるようになったのである。また浮いた費用で更に高額な洗剤を使うことにより、すすぎ力を増すことができるようになった。

 この同業者は間違いなく引くこの洗いの助けをクエン酸が行っているのだ。

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中和作用

 当方の殆どの洗いは極性が強弱は別としてアルカリに振れている。その洗い水を排水してから絞らずに水を低水位補充したのちに脱水する。これは衣料のソープ濃度を落とすのと、温度をかけた(40℃程度)状態からクールダウンさせる(30℃程度)ためである。これによって絞ってもシワになりにくくなる。

 それでも残るアルカリ成分をすすぎ段階で酸性であるクエン酸を投入することで「中和」して極性を中性としているのである。

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白化作用

 この中和の際に「白化作用」が起こり、衣料が冴えるようになる。従来のすすぎの概念では洗剤を文字通り「濯ぐ」ためでしかなかったすすぎ工程を一種の洗いの場としたのである。つまり当方では「洗い」でアルカリ洗いを「すすぎ」で酸洗いを行い、中和させて汚れを取るという概念に変わった訳だ。

 この考え方の変化についてこられる同業や出入り業者は殆どいない。

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デリケート洗いの切り札

 通常洗いはそういう形で行っているが、一部の水洗処理を行わなければならないデリケート系衣料への対応にもクエン酸は活躍する。

 例えばベッタリとプリントのついた数万円のブランド系Tシャツなど、絞り一つでプリントが剥がれたりしかねない、そこでクエン酸をベースにした洗浄である。

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当方での方法

 ・クエン酸30Lで5g~8g程度の溶液を作る。

 ・綿麻なら綿麻系仕上剤を、ポリエステルアクリル系なら化学繊維系仕上剤をそれぞれ加える。

 ・抗菌剤を少量投入する。

 これで軽く洗って絞って終わりである。トラブルのでない商品なら7分ぐらい洗っても良い。クエン酸を一般に流布されている濃度より上げるのがポイントである。

 仕上剤や抗菌剤があれば良いが、当方の別注品で市場に類似品が出回っていないのが残念な点である。売れば買ってもらえるような値段ではなく、そこまで大きな需要がないことから市場に出回ることがないからである。

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そんな洗いで大丈夫なのか?

 そもそも現代人は「洗いすぎ」「使いすぎ」「やりすぎ」なのである。であるから毎度毎度強く洗う必要がないと思う。こだわりは固定概念となり、逆に自由な思考を奪うことがある。

 そもそも高純度なものに天然などというものは存在しない訳で、ナチュラルか否かにこだわるよりは、使用量の見直しのほうがはるかに重要だと思う。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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