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カシミアベストをスイトルで水洗してみる

投稿日:2017-06-02 更新日:

 switle「スイトル」を使った純毛毛布洗浄に合わせ、汚れているカシミアのベストも合わせて洗浄してみることにした。その一部始終についてレポートしてみる。

汚れたカシミヤベスト

 クリーニング屋泣かせの衣料にニットがある。特にこの時期に出るニット製品はひと冬着て、食べこぼしが汚れから黄変化しているしているものが多く、シミとなったものは通常のクリーニング処置ではなかなか取れない。

汚れたカシミアベスト

 今回のカシミアベストもそんな品物の一つ。黄変化している汚れをスイトルでどこまで取れるのかを確認すべく洗浄処理を行うこととした。

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洗浄処理剤を作る

 業務クリーニングでは一目見てわかる、このようなシミや汚れを見つけた場合、事前処理を行う。色々な方法があるが、これらをひっくるめて「前処理」という。

 その前処理の中でも最もポピュラーなものがスプレーを使った前処理で、具体的に言えば洗浄処理溶液を水で希釈したものを汚れの箇所にスプレーし、それから洗浄を行うのである。今回は試しにそれと同じ方法で処理を行ってみることとする。

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スプレー

スプレー。この中に処理剤を作る

 スプレーは、ホームセンターで売られているそこそこのものを使う。できればフルプラ社のエクセレント500ぐらいが使えたらよいが、高額なので汎用タイプでよいだろう。

 どうしてそんなスプレーが良いのかというと、ズバリ中が溶けて使えなくなるからである。プラスチック(PE ポリエチレン)が洗剤に負けて溶けてしまう。安いスプレーの場合、肉厚が薄いためにやられてしまうので、すぐにダメになってしまう。

フルプラのエクセレント500

 その点、エクセレント500はプラスチックへの融解力の強い有機溶剤まで対応しているスプレーなので、洗剤にやられることはない。

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処理剤の準備

 業務用ハイブリッドウェットクリーナーの場合、専用の前処理剤と専用の洗剤を使っているが、今回入手できなかったので、当方が独自に調合している水洗用液体洗剤を使って代用する。

 まず、油性落とし用のリモネン洗剤を投入する。へ?洗剤?と思われる人もいるだろうが、実は汚れを落とすには「界面活性剤」が基本なのである。水と油の境界線をなくして融解させる、その後、洗浄液で汚れを洗剤ごと吸い取ってしまうのが、ハイブリッド洗浄・スイトル洗いの基本的な考えである。

 ハイブリッド洗剤がどれほどの濃度か不明だが。今回は100ccの水に対し5ccほどのリモネン洗剤を投入する。

中性のリモネン洗剤

 続いて、弱酸性洗剤を用意する。こちらの方は蛋白系の汚れを取る。濃縮度ではリモネン系洗剤を越えるものがある。これも5cc投入する。

 合わせて10倍希釈程度の溶液をスプレーに作った。

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カシミアベストの洗浄

 まず出来上がった処理剤をカシミアベストの汚れの部分に噴霧する。この時、洗剤濃度が濃いので、ベランダなど必ず外で噴霧する。でなければ床が洗剤でベタベタになる。噴霧後は最低15分は放置する。放置しないと洗剤内の酵素が十分に働かない。この服についている食べこぼしのような汚れへの対応策として、まずは酵素が有効で衣服へのリスクがない。

処理剤を汚れ部分に噴霧し、しばらく放置したカシミアベスト

 そしていよいよ「スイトル+処理液」でカシミアベストを洗浄する。その一部始終を動画で見ていただきたい。

 スイトルの動きやカメラワークがぎこちなく、判りにくい部分があるのは、打ち合わせやリハーサルもなく、いきなりぶっつけ本番で行ったからで、見た目やスイトルの洗い特性の詳細を把握せずに行ったためである。

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「スイトル+洗浄液」の食べこぼしの汚れ落ち

 洗った結果は「薄くはなったものの完全には取れなかった」である。ただこれはドライ処理やウェット処理、浸け込み洗いでも同様の結果となるのは判っていたことなので、それ自体は問題ではない。

 このシミ化した黄変を取るには「漂白を用いた中和処理」で取れるが、毛は漂白に弱いため、極薄の液を作り瞬時反応させて徐々に取っていく方法を行わなければならず、それはもう「洗濯屋」の領分ではなく「染み抜き屋」の域の話なので、今回のケース洗浄で薄くなったで十分でそこに価値がある話なのである。

 ドライクリーニング以上取れたのをウェットを用いず、スイトルで行えたのが大きい。服の風合いや染色等に全く影響を及ぼさず、簡便な方法で家庭内でここまで行えるのは非常に大きい。

 この「スイトル+洗浄液」でカシミアベストを簡単に洗って干して完成というのはドライクリーニングと同等レベルであり、従来の浸け込み洗浄などとは比べ物にならないくらい安全で簡単、かつ加工から仕上げまで一気に行える点は画期的だろう。

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おわりに

 今回、検証のため実験的にカシミアベストと純毛毛布の「スイトル+洗浄液」洗いを行った。その結果、洗えることはわかったものの、洗浄液の配合や、処理剤の配合に検討すべき部分があること。服を固定できるようにするなどの工夫すべき点があること。そしてこの洗いに対応する掃除機が何がよいのか。等々多くの検討課題が残った。

 また仕上げに至るまでの道具の検討など、家庭で「スイトル+洗浄液」洗いを行えるようにするには一定の環境整備が必要であると感じた。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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