blog 最新情報

「香害110番」を設置へ 2 強臭性柔軟剤とは

投稿日:2017-07-16 更新日:

 前回「日本消費者連盟が「香害110番」を設置へ 1」において、「香害」の実質的な正体が強力なニオイを発する「強臭性柔軟剤」であることを明らかにした。

 差別化が図りにくい柔軟剤に個性をつけるため、強いフレーバー(香料)を用いて、強力な香りで存在をアピールする「強臭性柔軟剤」。そのニオイを忌避する人がいる一方、強く支持するユーザーがおり、種類も増えて売上を伸ばしてきた。

 この「強臭性柔軟剤」の増加は「近年の「消臭グッズ」の台頭と対になっている社会現象であることと、その根源的な因が「生活臭への忌避」だということについて前回指摘したが、今回はそうなるに至る原因や私自身の仕事場での体験について書きたいと思う。

家庭洗濯の変化「内干し」

 家の洗濯物は外で干すもの。長年日本では一般常識だったその考え方が、近年、大きく変化している。「外干し」から「内干し」への転換が起こっているのだ。理由は3つある。

目次に戻る

家にいる時間「帯」の変化

 専業主婦という言葉が徐々に死語になりつつある現在、家に人のいない「時間帯」が増えたことにより、いない時間帯に「内干し」するケースが増えている。

 また内干しすることによって雨などの突発的なトラブルを回避する「メリット」がある。

目次に戻る

外を「ケガレ」と見る風潮

 外で干すと妙な泥棒や虫や鳥などといった「外敵」がいる。また空気そのものが汚れていると考える人が増え、内干しを好む傾向に拍車がかかっている。

 また「PM2.5」のように実際細かな粒子の飛来が伝えられており、こうしたものを回避する為に内干しを選択する人が増えている。

目次に戻る

居住空間の変化

 最近のマンションでは布団を干すことを禁止したりとベランダでモノを干しにくい傾向となっている。そうした流れの中で、内干しするしかないケースが増えている。

 このように住宅事情の変化が暮らしそのもののあり方に大きな影響を与えているのである。

目次に戻る

日本の洗濯法は内干しに不向き

 上記に挙げた以外にも梅雨の湿気を忌み嫌って、空調の効いた部屋で、「除湿」しながら内干しを行う人などもおり、内干しの動機も多様である。

 ところが日本の家庭洗濯は外干し前提で内干しに不向きなのである。理由は欧米のように温度をかけた洗濯が行われていないので、俗にいう「ニオイ戻り」が発生しやすい。

 簡単に言えば、これまで日光の力で「除菌」が行えたものが、内干しでは日光の力がないため菌が死滅せず、ニオイが発し易くなるというものだ。これに対応するには、欧米並の高温洗濯(60℃以上)を行えばよいだけなのだが、ご存知のように日本の洗濯設備ではそこまでできない。

 そこで登場するのが「消臭グッズ」と「強臭性柔軟剤」。本来設備的対処をなさなければならないものを資材の力で解決しようとしたのである。そもそも日本では洗濯法の改善そのものにスポットが当てられなかった。

 こうして「ニオイの対処」に「ニオイ対処剤」で行うという文化が、日本では21世紀に入って本格的に成立したのである。こうして根付いた「強臭性柔軟剤」。しかしニオイをつけるのは簡単でも除去は容易ではなかった。

目次に戻る

「強臭性柔軟剤」のニオイの除去

 現場に立つクリーニング業者の立場から言わせてもらえれば「強臭性柔軟剤」のニオイは、水洗で洗おうがドライで洗おうが容易に「取れない」。というか洗っているこちら側が「酔う」くらいなので相当な臭気だと思ってもらって良い。

 人間の感覚で最初に麻痺するのは「嗅覚」だという。普段からこの「強臭性柔軟剤」を濃く使っている人は、このニオイに慣れてしまっているので嗅覚が麻痺してしまっているのだ。

 現場で一切ならず「強臭性柔軟剤」の強烈なニオイを体験しているモノとしては、日本消費者連盟側が会見で明らかにした苦情の症状である「吐き気がする」「体がだるい」「目がちかちかする」というのは誇張でもなんでもなく、事実である事は容易に分かる。

 高濃度の「強臭性柔軟剤」の放つニオイの凶悪さは尋常ではないのである。

目次に戻る

おわりに

 日本消費者連盟は「香害110番」で受けた苦情をまとめ、行政側やメーカー側に申し入れを行うという。だが何らかの規制を行うような法令もなく、コストが安く、かつ差別化の図りやすく、そしてもっとも緩い「ニオイ分野」をメーカー側が容易に捨てるとは思えない。

 「強臭性柔軟剤」は家庭洗濯の環境の変化や「生活臭」の打破、という近年の潮流の中でユーザーによって求められたもので、麻痺してしまっている感覚に対する改善は、容易ならざるものではないかと思う。

 一方、毒だ毒だと毎度毎度、一方的に喧伝して踊り明かす芸だけでは事態は一向に進展しないのではないかと思うのは、ネタ元の政治的スタイルを見れば明らかである。

 もっと使う人々の心情を理解し、その上でそうしたものと上手に付き合っていける方法を考えなければ、いつもの自家発電に終わってしまうだけの話となってしまう。

にほんブログ村 その他生活ブログ 掃除・洗濯へにほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへにほんブログ村 その他生活ブログ 片付け・収納(個人)へ

-blog, 最新情報
-, ,

関連記事

クリーニング屋が本当に家庭で服を洗ってみる

 私の妻が服の洗い方を教えても、一向にその方法で洗おうとしないので、シビレを切らし、遂に自身の手で洗い方を見せることにした。一度も家で洗濯をしたことがない私が洗った、その模様をレポートする。 Cont …

Yシャツ料金のホントの話

 クリーニング店によって全く違う「クリーニング料金」。値段もバラバラならば、料金体系自体も違う。実はその料金及び料金体系の考え方自体、一般社会や他業界からすれば思いもよらないものだった。これをY シャ …

プロ洗いの技術「仕分け術」

 クリーニングにおいては、洗剤以前に重要になってくるものが衣料の「仕分け」。まず被洗物をドライクリーニングと水洗い(ここでは便宜上水洗いとする)に分け、その水洗いを素材形状等で更に仕分ける。この仕分け …


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

    軟水器アクアソフトAQ-S401 レビュー  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」や「アクアソフトAQ-S401、ネットの片隅で起こった異変!」で度々取り上げてきたヤマダ電機子会社の住宅機器メーカー「ハウステック」が出 ...

    switle「スイトル」の実機レビュー1  以前より注文していた湿式掃除アタッチメント、switle「スイトル」がようやく届いたので早速、開封することとした。 Contents1 重くない箱2 スイトル本体を付属品と繋げる3 給水タンクの構造 ...

    家からウタマロクリーナーが消えた日  風呂場にあった「ウタマロクリーナー」のスプレー容器が消えていた。妻に「どこにやったの?」と聞いたら、「要らないから捨てた」という。まだ残っていたはずだったのにどうして捨ててしまったのか・・・・・ C ...

    switle「スイトル」の実機レビュー2  エントリー「 switle「スイトル」の実機レビュー1」では書ききれなかったスイトルの内部構造について、早速実機の写真を交えて見ていきたい。 Contents1 アクアサイクロン方式2 清水噴出部3 ...

    間違いだらけ!週刊ポストの「年金」記事  私が「年金受給が40代は70、30代は75を視野に?」を書きつつ、危惧していたことが現実となった。 怒りの徹底追及 年金は75歳までもらえなくなる 「働き方改革」に便乗した年金大改悪が年内にも閣議決 ...

    家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要  これまで洗濯と軟水の関係についてしばしば取り上げてきたが、あくまで業務用軟水器を使った話だった。では家庭用軟水器があるかといえば、実はなかなかというのが現状である。というのも日本は元々軟水の国で、浄 ...

    嘘だらけのネット情報。真のアクリル毛布の洗い方  家庭で使われる毛布の中でアクリルの毛布の割合はかなりのものになると思う。クリーニングの需要は年々減りつつも出てくる毛布の殆どはアクリル毛布。家やコインランドリーでも相当程度洗われているのではないかと ...

    家庭用軟水器三選! 3つの軟水器を徹底比較!  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」でも書いたように、家電大手ヤマダ電機系列のテックハウスが昨年12月に家庭用軟水器を発売したことによって、ニッチな市場である家庭用軟水器周 ...

    東芝新型洗濯機「ウルトラファインバブル洗浄」とは何か  東芝ライフスタイルが新技術「ウルトラファインバブル」発生装置を組み込み洗浄力を向上させた新型縦型洗濯機「ZABOON(ザブーン)」を近日投入する。「ウルトラファインバブル」とは、ナノレベルの極小の「 ...

    アクアソフト AQ-S401 軟水器アクアソフトAQ-S401 イオン交換樹脂の再生  ヤマダ電機系列ハウステック社が販売する家庭向けシャワー用軟水器「アクアソフト AQ-S401」設置から四日目。早くもイオン交換樹脂の再生作業が必要となった。ということで、早速作業に取り掛かることとし ...