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「超軟水」はいかがわしい? 軟水ウソホント

投稿日:2017-05-29 更新日:

 軟水器関連の記事をネット上で散見すると「超軟水」なる表現が度々登場し、長年軟水を扱ってきた者としては正直閉口する部分がある。そもそも「軟水器」を通した水は「硬度成分を取り除いた水」でしかなく、それを「超軟水」なる魔みず法の水であるかのような表現をしなくてはならないのか、あるいはその業界で相応の地位にある人間が「超軟水」という言葉をわざわざ用いて喧伝しなければならないのか、調べていく中で疑問に感じたので、等身大の「軟水」の姿を書きたい。

「水」はいかがわしさの元

 この○✕水はよく効くとか、何々に効果があるのは▲✕水しかないといか、奇っ怪な論を振りかざして高額で販売される水がある。中には著名人と懇意となり、その繋がりをアピールして効果の裏打ちにしているようなものもある。

 「水は生命の源」と言われるだけあって、何かあった際に人が縋るものが「水」であるケースは実は多い。そんな高額な水の製品でなくとも「▼◎電解水」やら「●△イオン水」、もっと身近なものならば「ナチュラルミネラルウォーター」やら「天然水」など市場に氾濫している。そもそも人為的な「ペットボトル」に詰められている時点で「天然(ナチュラル)」などではないのだが、非常に有難がってお金を支払い購入して飲んできるのである。

 で、ここにきて「軟水」をわざわざ「超軟水」と謳って、その効能を説く例が数多ある。書いていることの過半は事実に即していることなのに「超」とつくことで、なんというか「○✕水」的いかがわしさを感じるのは私だけではないはずだ。どうして「超」をつけなければならないのか?

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日本の水は基本「軟水」

 ひとえにこれに尽きる。日本の殆どの水は国際的な基準では軟水に分類されるのだ。軟水器から出てくる「軟水」の効能を説くにはあまりにも「都合が悪い」と見えるのだろう。なぜなら「元々軟水なのに、わざわざ軟水器で軟水にしなくてもいいじゃない」と言われれば終わりだからである。

 この説明に苦しんだ。だから軟水器の水は軟水とは違う「超軟水」なのだと主張するに至ったのだと思われる。実はその説明、これ自体は正しい。一般水と軟水器を通した硬度成分が除去された水は両方軟水だが、明らかに別物だからだ。しかし「超軟水」と名付けたその言葉があやしさを醸し出しているのではないか?

 確かに「硬度成分が除去された水」というよりも一言で「超軟水」と言ったほうが説明しやすいのかもしれない。普通の水とは違うから効果があると訴えやすいからだ。だが「超」という言葉は従来を越えるものに使われる言葉。例えば「臨界点」を越えた水を「超臨界水」と呼ぶのが本来の使い方なのである。

 対してイオン交換樹脂を使った陽イオン除去装置(軟水器)は半世紀前からあるもので「超」も何もあったものではないのだ。それを今更「超」をつけて効能をアピールするのはあまりにも短絡的で、情報の信頼性を損ねるのではないか?

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「軟水」と「軟水器を通した軟水」の違い

 これは私の体験談である。私のいるクリーニング業界では蒸気を使用するため、どこの業者も蒸気を作る貫流ボイラーを入れている。このボイラーを売るメーカーはボイラーを動かすため、二つのものの導入を強くすすめる。一つは薬注、もう一つは軟水器である。

 薬注というのはボイラー内の腐食を防ぐために薬品を入れて強アルカリ性にすること。そして軟水器は硬度成分を除去した水をボイラー内に投入し、水の金属分が入り込んで管内を塞がないようにするためだ。

 この双方、設備費用や維持費用は当然ながらかかる。ボイラーは直接使うもので必要性はわかるが、軟水器や薬注は直接実感できないということで、どちらかを使わなかったりするケースはままあった。その中でも特に多かったのが「日本は元々軟水なのだから、わざわざ軟水器を使って軟水にする必要はない」論だった。確かに本当の話だからウソではない。しかし現実はそうではなかった。

 あるとき軟水器を使っていない業者のボイラーに水が入らなくなった。ポンプの故障かと思ってポンプを外すと配管内が茶褐色と白い物質で詰まってしまっていた。またポンプ内にも同様に茶褐色と白い物質がビッシリと詰まってしまって、とてもじゃないが水を送り出せるような状態ではなかったのである。

スケール

 これが硬度成分の正体だった。水を沸かし続けるボイラー内では沸騰によって水は蒸気化するがカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分は残ってしまい、凝縮して配管内を覆ってしまうのだ。そこにサビが混じって白と茶褐色の物質となってボイラー内に滞留する。それがスケールだ。

 このスケールをボイラー内の手が出せる範囲で取ると、10Lバケツ一杯分となった。長年をかけてとはいえ、軟水であろうとも日本の一般水にはそれだけの硬度成分(金属成分)があるということなのだ。つまりこの話は、一般水(軟水)と軟水器の水(軟水)は別物ぐらい違うことの証明となるだろう。

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軟水器の「軟水」は家で何に使えるのか

 水に含まれる硬度成分は別名「ミネラル」という、非常に知られた名で呼ばれるものである。そしてその言葉通り我々の身体には必要不可欠な成分なのだ。ところが先程の貫流ボイラーの件を見ても分かるようにその硬度成分が阻害物になるケースがある。ここでは家庭の中で軟水が望ましいものについて列挙してみる。

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風呂

 アクアソフトをはじめ、複数の家庭用途のシャワー軟水器が発売されていることからみても分かるように、人がもっとも効果を実感できるのが「お風呂」であろう。髪や体のツッパリ感をなくし、石鹸やボディソープ、シャンプーやコンディショナーの使用量を大きく減らして皮膚などへのダメージを減らせる効果は大きい。

 またソープの使用量が減ることによって、すすぎやすくなり、結果として水道の使用量を減らせる見込みがある点も見逃せない。

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洗面所

 石鹸使用量が減らせるという点において、石鹸を使う洗顔や手洗いも軟水の恩恵に預かることができる。石鹸量が少なくなれば当然ながら皮膚などの身体へのダメージも減り、風呂と同じくすすぎ量も少なくなるので節水効果も期待できる。

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洗濯

 従来の3分の1の洗剤使用量で、それまでと同等の洗浄力を得られるだけではなく、使用量そのものが減ることによって、工夫次第で一回すすぎが可能となり、大幅な節約が可能となる。

 また温水を使用することで従来より洗浄力をアップしながら、費用の大幅な節減ができる点は魅力的だろう。

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掃除

 軟水は拭き掃除でも効果がある。掃除用洗剤を従来の2倍から3倍の量で薄めても硬度成分が邪魔をしないので同等の力を持つ。そして薄い状態の洗剤をすすぐ際の労力は当たり前の話だが少なくて済む。非常に効率の良い掃除ができるのである。

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台所

 食器洗い用洗剤の使用量が大幅に減る。これも硬度成分がない恩恵である。洗剤使用量が少なくても汚れが取れることになり、結果としてすすぎも少なくて済むという話になる。

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まとめ

 これまで見てきたように家庭における軟水の効果はなんといっても「界面活性剤」との相性の良さである。硬度成分がない水を使うことによってソープの使用量が大幅に少なくなり、すすぎ水も減る。使用量が減ることによって身体への影響を低減させることができるのが最大のメリットである。

 他の効果の是非論はあるにしても、この点に異論を挟むことは誰も出来ないはずである。逆に言えば軟水器の効能を語るにはこれ以上の話はなく、これ以下にしようにもできないのが現実であり、これが家庭における等身大の軟水器の話ではないかと思う。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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