クリーニング技術 最新情報

「洗い」はしない「除菌」はしないが「消臭剤」

投稿日:

 消臭剤に関してネット上で色々調べてみると、とんでもないことを考えている人が多く、こちらが思わず仰け反ってしまうような感覚で「消臭剤」を使っているケースが数多くあることに驚かされる。

 実は店舗を運営していた際にも消臭剤で「洗った」から、クリーニングに出さなくても大丈夫云々と言われたと店員から報告を受けたことは何件もあり、正直「頭がおかしい」のですかと言いたくなったのを思い出してしまった。

 このような恐るべきレベルでの誤解は一部の消臭剤のやり過ぎレベルの宣伝にも起因しているのだろうが、もっと大事な問題、例えば受け手の「思考停止」もあるのではないかと感じる。それはあまりにも自分にとって都合よく解釈しすぎているのではないか。

 そこでネットで書かれている「消臭剤」への誤解について、徹底的に払いのけようと思う。

「消臭剤」は「洗い」ません

 そもそも「洗い」と「すすぎ」は基本的にセットであり、「消臭剤」を噴霧するのが「洗い」だとすれば、「すすぎ」に相当する何らかの工程がなければならない。しかしないということは、「洗い」ではないということである。

 「消臭剤」が行っていることは種類によって方法に細かな違いがあるが、概ね次の3つである。

  • ニオイの成分と結合する(化学的脱臭)
  • 微生物を繁殖させないようにする(生物的脱臭)
  • 違う香りでニオイを感じさせないようにする(感覚的脱臭)

 これにアルカリ性の消臭剤ならニオイの元となる酸性物質の「中和」、酸性の消臭剤なら「殺菌効果」による微生物の繁殖阻止力の強化が加わる。が、スプレーした範囲での話であり、しかもその回数自体がバラバラで使われる環境も大きく異なるため、実際問題、どこまで発揮されたのかについては疑問点もある。

 いずれにせよ「洗い」とは被洗物の汚れを溶液に「移す」ことで汚れを除去するもので、百歩譲って仮にスプレーによって汚れ物質が「分解」されたとしても、それは汚れの除去にはならないこと、誰の目から見ても明白だ。

 これを例えるなら、床に落ちた肉を取り除かず、消臭剤をスプレーだけして「キレイにした」と言っているのと同じであり、それでは誰も受け入れないのではないか?

目次に戻る

「消臭剤」は「除菌」せず

 正確には「除菌」ではないということである。中には「空気除菌」とか言っている人もいるようだが、そもそも菌が生きていけない環境で生命体が生きられる訳がない点を重々承知すべきだと思う。

 しかも消臭剤は「ニオイ消し」の為に除菌作用のある成分を配合しているのであって、「除菌」が主目的ではないため少量の配合に留めている。これはコストを抑えるためと、成分が強ければ噴霧そのものができなくなるからだ。

 一つの価値観で「善玉」「悪玉」と区別する考え方は危険で、「善玉」は時として「悪玉」に、「悪玉」は善玉になりうる。要は「程度」の問題であって、重篤な症状でない限り「除菌」意識は程々にしておかなれば、逆に自身に反作用として返ってくるとも限らない。

目次に戻る

まず「こども」「ペット」は離すこと

 大人に比べ、こどもやペットは体が小さく、様々なものに影響を及ぼされやすい。大人なら問題なくてもこどもやペットに問題が起こることは十分に考えられるのだ。

 そのこどもやペットに対し、「消臭」とか「除菌」を理由にして「消臭剤」を用いるのは言語道断であって絶対に避けるべき行為である。特に生後間もない赤ん坊がいるような部屋では、使用自体を控えるべきである。

 とりあえず「消臭剤」を噴霧しておけば安全という発想は誤りで、安全な状態や環境を作ってから「適量」を噴霧することが「安全」に繋がっていく。何でもそうなのだが、基本「使いすぎ」なのである。

目次に戻る

おわりに

 先入観や思い込み、願望などが先走ること、それ自体はよくあることである。だが、そこに別の視点を入れて多面的にモノを見る発想があれば、それが思い違いであったり、的外れであることに気づきやすくなる。

 人は誰しも間違えるわけで、それにいかにして気付き、謙虚に受け止め、どのように振る舞うべきかを考えるのかが、まさに「人」が「人」たる所以ではないか。

 大人なんだから何をどう配慮していくべきなのかについて、もう少し真剣に考えるべきだと思う。

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 掃除・洗濯へにほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへにほんブログ村 その他生活ブログ 片付け・収納(個人)へ

-クリーニング技術, 最新情報
-

関連記事

洗えないラビットファー付きダウンを普通に「洗う」

 近年、ダウンジャケットに色々なものをつけた服が販売されている。今回のケースは襟とフード裏にラビットファーをつけたものだった。複数のクリーニング店から断られ、ウチに流れ着いてきたという話。  で、品質 …

いくら貯金があっても収入がなければ無意味な話

 大塚家具といえば創業者の父親と二代目の娘さんが経営権を巡って争奪戦を演じた末に娘さんが勝利した。以後、経営改革に取り組んでいるというが、その成り行きに暗雲が垂れ込めているという。  その実情を週刊新 …

家を買おうと思っていたが、できなかった人の話

 世の中というもの、なかなか自分の思い通りにいかないもので、家を購入したいと思っていたのにも関わらず、購入できずに60代を迎えてしまったという人がいる。今回はそういう方の話である。  この世代が社会に …


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

    知られざる「タイムズクラブカード」の使い方  タイムズ(Times)と言えば駐車場サービスの大手であり、街のあちこちに時間貸し駐車場が展開している。最近では路上の駐車場に留まらず、店舗の駐車場スペースなどの管理も請け負って「タイムズ駐車場」とす ...

    家からウタマロクリーナーが消えた日  風呂場にあった「ウタマロクリーナー」のスプレー容器が消えていた。妻に「どこにやったの?」と聞いたら、「要らないから捨てた」という。まだ残っていたはずだったのにどうして捨ててしまったのか・・・・・ C ...

    軟水器アクアソフトAQ-S401 レビュー  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」や「アクアソフトAQ-S401、ネットの片隅で起こった異変!」で度々取り上げてきたヤマダ電機子会社の住宅機器メーカー「ハウステック」が出 ...

    本当にいいのか?日立ビックドラムの「ナイアガラすすぎ」の是非  クリーニング業界で「ナイアガラ」と言えば、東京洗染機械製作所の「ナイアガラドライ」を真っ先に思い出す人も多いだろう。大流量の溶剤を一気に流して洗うのを「ナイアガラの滝」に例えたネーミングだが、今回は ...

    嘘だらけのネット情報。真のアクリル毛布の洗い方  家庭で使われる毛布の中でアクリルの毛布の割合はかなりのものになると思う。クリーニングの需要は年々減りつつも出てくる毛布の殆どはアクリル毛布。家やコインランドリーでも相当程度洗われているのではないかと ...

    switle「スイトル」の実機レビュー1  以前より注文していた湿式掃除アタッチメント、switle「スイトル」がようやく届いたので早速、開封することとした。 Contents1 重くない箱2 スイトル本体を付属品と繋げる3 給水タンクの構造 ...

    家庭用軟水器三選! 3つの軟水器を徹底比較!  エントリー「家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要」でも書いたように、家電大手ヤマダ電機系列のテックハウスが昨年12月に家庭用軟水器を発売したことによって、ニッチな市場である家庭用軟水器周 ...

    正直、アイロンにスムーザーは「要らない」と思う  「スムーザー」とは、花王が販売するアイロン用シワとり剤の名称であり、正式には「キーピング スムーザー」と言って、その名の通り糊剤に位置付けられる製品である。  で、いきなり「要らない」なんてタイトル ...

    家庭用軟水器 アクアソフト AQ-S401 概要  これまで洗濯と軟水の関係についてしばしば取り上げてきたが、あくまで業務用軟水器を使った話だった。では家庭用軟水器があるかといえば、実はなかなかというのが現状である。というのも日本は元々軟水の国で、浄 ...

    軟水とは何か?洗いのための軟水  エントリー「「すすぎ」問題を解決する方法」で洗濯に向いた水(軟水)を用いいることで洗剤量を減らすことができる点を書いたが、クリーニング業者がその軟水を用いることは、実は容易なことなのである。  それ ...