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「洗い」とは何か? 洗剤は汚れを落とさない。

投稿日:2017-05-06 更新日:

 洗濯に限らず、台所用洗剤や部屋掃除の洗剤に至るまで「この洗剤が落ちる」「この洗剤はイマイチ」といった話があるが、それは正しいとは言えない。汚れを取るのは「溶媒」、つまり家ならば「水」が汚れを落としているのである。

 そもそも洗剤は「水」の支援の為に使っているのだ。ここを踏まえておかなければ、「洗剤で汚れをつける」という本末転倒な話になりかねない。

必要だが要らないもの、それが洗剤

 「プロ洗いの究極の洗濯術「複数使い」」で取り上げているように「洗剤」には多くの材料に入っている。それは一にも二にも「水」で汚れを落とすために入っているものなのだ。繊維と水の境界線を破る「界面活性剤」、水の浸透を阻む油脂を溶かす「アルカリ剤」などは汚れを取る「水」の為に露払いをする役割を担っている。繊維と水の間で汚れを交換を行う、その橋渡しを行っている訳だ。

 こうして衣服の「汚れ」を取る役目を立派に果たした洗剤。しかし役目を果たすと途端に邪魔者となってしまう。洗剤自体が「汚れ」となってしまうからである。衣服に洗剤が残留すれば、除去した汚れを抱え込み、逆汚染(再汚染)を引き起こし悪臭を放つ。また油性のため人肌に触れると「石鹸やけ」などの障害を引き起こす。これを防ぐために「すすぎ」工程があるのだ。
 だが先程まで躍起になって繊維内への侵入を進めてきた洗剤を繊維の外に放り出すのは容易なことではない。

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「すすぎ」の考え方

 一般に「すすぎ」といえば「キレイにしている」と思われがちだが洗濯においては少し違う。洗いで使った洗剤溶液(ソープ)を排水し、代わりに水を投入することでソープ濃度を下げているのである。よって決して柔軟剤ですすぎを促進している訳ではない。すすぎとは100ccのコーヒーに1000ccの水を入れて、コーヒーの濃度を落としているのと同じ作業なのだ。
 もっとも、これを速やかに進めるため、すすぎに入る前に「絞り」の工程を入れる。脱水である。この脱水によって100ccを10cc減らしてから1000ccの水をいれる。これによって10%だった濃度が1%となる。更にもう一度この工程を繰り返せば0.01%となり、これで良いという事になってすすぎは終わる。ゼロはない。

 よく環境基準などで「何ppm」以下の基準云々という話があるが、あれと同じなのである。洗濯を行った衣服の洗剤成分の残留がゼロになるということはありえないのだ。そもそも販売段階からゼロではないものをゼロにしようという発想が間違っている。人体をはじめ影響が出ないレベルまでソープ濃度を下げることが洗濯でのすすぎの役割だ。

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「すすぎ」で解決できないケース

 多数の人にとって問題がないレベルまで下がっているソープ濃度であっても、反応が出てしまう人々がいるのも事実である。過敏症などと言われているが、そういった場合、合成洗剤の由来が疑われるケースが多いようである。すなわち鉱物性(石油系)である。近代科学の力で作ったものだから問題があるとして、古来からあるものを使ってナチュラル生活で安全と考える向きもある。

 だが動植物性の石鹸にしろ、鉱物性の合成洗剤だろうと程度の差こそあれ「石鹸やけ」を起こす人がいるのに変わりがなく、洗剤(この場合、合成洗剤から石鹸)に変える事が根本的な解決策に繋がるとは思えない。厳しい物言いだが、もっと他に考えるべきことがあるのだ。

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まとめ

 このように洗濯には「洗剤を多く入れればリスクが高まる」という大きなジレンマがある。これは資材の由来以前の問題で、何を使うな何を使えというものではなく「使いながら使わない工夫」を行なうほうが重要なのである。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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