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「日本のアパレル業界は死にかかってる」←死亡確定です

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 最近、週刊現代が頑張っている。その中で今回は「アパレル業界は、どうやら「死にかかっている」かもしれない」という記事について取り上げてみたい。

 「アパレル業界が苦境に陥っているのは、『消費者の価値観の変化に負けた』から。いまや女性は、『憧れのモデルが着る高いブランド服』を欲しがらなくなり、等身大の服を求めるようになっている」

-記事中「流通専門誌『2020ValueCreator』編集長の田口香世氏」

 「彼女たちは『着飾る文化』から離れ、服は『ファッション』から『生活用品』に変わった。これが、アパレル苦境のいちばん大きな要因だと思います」

ー記事中「小島ファッションマーケティング代表の小島健輔氏」

 記事中はこのようにアパレル内からの厳しい意見で溢れている。だが、それでもまだ「甘い」と言わざるえない。というのもアパレルの川下にいる我々クリーニング業界では売上が半減しており、業界として「あかんところ」(業界を維持するために必要な売上)が抜けてしまっているような有様なのだ。

 これは実質的に日本のアパレル業界は業界として命脈が尽きることを意味している。なぜかと言えばアパレルが稼げる服は「クリーニング」を出す品物だからで、その処理量が減少し続けているのだから売れている訳がないのだ。

業界苦境の真の原因

 アパレル不振はライフスタイルの変化というが、実はそれは表向きの話で、最近の高所得者の少なからぬ人がいわゆるブランド物にそっぽを向いているのが大きい。理由は端的に言えば「価値が見いだせなくなった」からである。

 どうしてそんなことが判るのか?といえば、我々クリーニング業者はお客様の出される服によって形状や素材、ブランドの流行を知ることができる。また対面なので、大まかな「層」についても知りうる立場にあるのだ。

 ハッキリ言えば、年収数千万の人間でも「ユニクロ」「GAP」を着てクリーニングを出しているというのが現状で、もっと具体的に説明をすると50代以上はブランドを買っても、それ以下の人間は必要性を感じなければ「買わない」傾向が強い。

 例えばスーツなどではイタリア系ブランドを見かけることが少なくなった。以前ならばこの層では当たり前のように着ていたのだが、今は非常に少ない。男性が着るYシャツに至っては「鎌倉シャツ」が多いような有様である。

 何が言いたいかというと、従来流行の「旗」を担ってきたステータスを持つ人々がブランドに拘らなくなったため、それまで無理をして購入していた層が、そこまでして買う必要がなくなり、結果ブランド価値が喪失してしまった。

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一言で服離れというが・・・

 ブランド品離れを「服離れ」というが、それは服を着なくなったということではない。メーカーにとって高い利益を出す服が売れなくなったことを指す。その因を「デフレ経済」に求め、低価格ブランドをタケノコのように立ち上げて時代に対応しようとした。

 ところが低価格路線を推し進め、コストダウンに傾注した果てに待っていたのは、単なる「丸投げ」という帰結であった。そうなってくるとブランド自体、意味をなさなくなってくる。投げた先が作っているのであれば、そこが他のメーカー、ブランドで請け負っている服でも同じで、問題は価格のみということになってしまうからである。

 また全体的に縫製や素材の質が年々劣化しており、特に「家で洗えるスーツ」とかいった類の服などは、正直「ここまでダメになってしまったのか」とため息が出るぐらい「粗悪」なものが多い。こんなことを言ってはなんだがまともな服が作る力すらなくなっているのかと勘ぐりたくもなる。

 これでは買う気が失せる人も出てくるのではないかと思われる。皮肉なことに我が業界が品物が集まらないからとセールを打ち続け、仕事の内容が低下してしまい、顧客離れを引き起こし売上を減らし続けているのと、同様のスパイラルがアパレル業界で発生しているのだ。

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「ブランド」は死んだのか?

 しかし本当に「ブランド」が見限られているかと言えば、そうでもない。三陽商会が長年提携してきた「BURBERRY(バーバリー)」との契約が解消されるとの話が広まると、お客様が店に殺到。この年の三陽商会は大きく利益を伸ばした。

 また記事中にも書かれている通り、日本での「HERMES(エルメス)」の売上が20%アップと好調であることから見ても、「ブランド」の惹きつける力は大きいと言わなければならない。

 にも関わらず日本のアパレル業界の「ブランド」が苦戦をしているのかと言えば「定見がない」という1点で説明がつくのではないかと思う。少なくとも「BURBERRY」や「HERMES」のような一貫しているというイメージはない。

 これは堅いものだけを確実に買いたい、という消費者の強い心理が現れているのではないかと思う。

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おわりに

 記事中では服の支出が年々減っていることを「生活の意識への変化」と読み取っているようだがそうではない。限られた資金を回す順番が変わったのである。どうして変わったのかはハッキリしていて、守りに入っているからに他ならない。

 本来女性が「装い」への興味を失うわけがないのだ。彼女たちも一定の収入(あくまで当人基準)があれば、喜んでブランド品を買うだろう。但し、自分が本当に必要なもの「だけ」を買うだろう。

 以前であれば雑誌とテレビのコンボで買わせることが可能だったものが、「ネットの情報」と「ネットの交流」によってメディア外の情報が増え、消費者がよりシビアになったということである。

 そうした核心部分の掘り下げが我々クリーニング業界と同じく行われていないのではないかと思う。人々の指向を識り、未来の動向を探らんとする考えが必要なのかもしれない。

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Vivente
現役クリーニング事業者。妻と二匹のネコと暮らしながら、整理術やくらし術、生活家電や機器、、著名人のなどの研究を行っている。プロフィールはこちら

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